2010 Fiscal Year Annual Research Report
見えない現象を観ることに挑戦する「化学反応とエネルギー」に関する新規実験教材開発
Project/Area Number |
22500797
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
田口 哲 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60281862)
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Keywords | 科学教育 / 化学教育 / 理科教育 / 教員養成 / エネルギー変換 / 教材開発 / 演示実験 / 実験・観察 |
Research Abstract |
本研究では,『化学反応とエネルギー』に関わって,直接認識できる巨視的な実験結果を基に,目には見えない微視的な現象を"観る"ことでこの分野の本質的理解を学習者に促す,理科教員養成のための先導的な実験教材とカリキュラム試案を開発することを目的とした。初年度(本年度)は,高校化学におけるエネルギー変換の取り扱いの問題点を検討した後,この問題点の解決を視野に入れ,化学反応に伴うエネルギー変換に関する巨視的視点での実験教材を開発した。汎用性の高い各種センサーとコンピュータを使って物理量を測定することで,広く利用される教材を目指した。また実験は,デジタル映像化することで普及を目指した。 <1>状態変化に伴う吸熱・発熱 1.化学結合の切断に伴う吸熱:アセトンを減圧沸騰させ,この際の圧力・温度・質量変化を測定することで,液体のアセトンが気体に状態変化する際に吸熱することを示す実験を開発した。 2.化学結合の生成に伴う発熱:酢酸ナトリウム三水和物(固体:融点57℃)の過冷却液体にその微結晶1個を加え,液体から固体に状態変化する際の質量と温度を同時に測定することで,この状態変化で発熱することを示す実験を開発した。 <2>化学反応に伴う吸熱・発熱 1.化学結合の切断に伴う吸熱:塩化アンモニウム(NH_4Cl)が水に溶解する際の温度と質量を同時に測定することで,NH_4ClがNH_4^+とCl^-に解離する際に吸熱することを示す実験を開発した。 2.化学結合の生成に伴う発熱:アンモニア(NH_3)と塩化水素(HCl)の気体が衝突し固体の塩化アンモニウム(NH_4Cl)が生成する際の温度を測定することで,結合の生成に伴って発熱することを示す実験を開発した。 以上の内容は,現在,論文にまとめている最中である。次年度以降,この巨視的視点で開発された教材を微視的視点から捉えなおす教材を開発する予定である。
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Research Products
(2 results)