2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然放射能線源を利用した放射線教育「30分測定実習」法の開発と実践に関する研究
Project/Area Number |
22500834
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
河野 孝央 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (20300733)
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Keywords | 教育工学 / 自然放射能 / 放射線 / 実習 / 教材 |
Research Abstract |
平成22年度は、国内における放射線教育の実状を調査するとともに、実習教材を試作して性能評価を行い、その結果に基づいて、「30分測定実習」法の基本設計を進めた。実状調査では、中学・高校、一般を対象にした放射線教育は、比較的限られた地域や教育機関で実施されている事が分かった。その理由として、使用される放射線源が特定の地域でしか採取できない放射能含有温泉水であることや、実習教材が高価で、準備に手間のかかることなどが考えられる。そのため日本国内どこでも容易に手に入れることの出来る塩化カリウム、化学肥料、乾燥昆布などを材料にした放射能線源を使用するとして、「30分測定実習」法の基本設計を行った。また現在行われている多くの放射線教育は体験学習的な色彩が強く、そのため、基本設計に、放射線の性質と安全取扱、放射線利用を組み入れることにした。こうした設計思想のもとに実習手順を具体化し「30分測定実習」法として放射線業務従事者教育に適用した。その結果、各受講者の測定値に多少の差はあるが、それぞれが得たデータを用いて防護の3原則を理解できることが分かった。また本年度の研究で、測定シートの重要性が明らかになった。シートの出来・不出来で、実習が円滑に進むかどうかが決まる。今後、測定シートの重要性を考慮した基本設計の修正を行う必要がある。なお本研究で開発した複数の化学肥料を線源材料に用いる実習法が、日本放射線安全管理学会誌に技術論文として採択された。また塩化カリウムを用いる実習法を放射線業務従事者教育に適用し、実践経験として平成22年度の放射線取扱主任者年次大会で発表したところ、優秀ポスター賞を受賞するに至った。
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Research Products
(4 results)