2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然放射能線源を利用した放射線教育「30分測定実習」法の開発と実践に関する研究
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22500834
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
河野 孝央 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (20300733)
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Keywords | 教育工学 / 自然放射能 / 放射線 / 実習 / 教材 |
Research Abstract |
平成23年度は、福島第一原発事故関する新聞/テレビ等の報道により、日本国民の多くが、否応なしに放射線の教育を受けさせられた1年であったといえる。しかしながら、聞いて知るだけの概念的な知識の習得でしかなかった。本当に放射線を理解するためには、放射線を自分の5感で実感し、理解する必要がある。本研究で進めている自然放射能線源を利用した「30分測定実習」は、そうした放射線教育の要請に答えることができる。したがって当初の目的にはなかった福島原発事故を意識して、放射線教育の実践研究を進めた。 昨年度から始めた「30分測定実習」法による放射線業務従事者教育を平成23年度も継続したほか、新たな取り組みとして、化学肥料および乾燥昆布で製作した自然放射能線源で家庭における放射線教育を実施し、有効性を確認した。またスーパーサイエンスハイスクールなどで来所する高校生に対し、同様の放射線測定実習を開始した。その結果、適切な実習手順とデータシートの重要性を再確認するとともに、改良を進めた。さらに核融合科学研究所主催の東京イベントで放射線実習のコーナーを設け、主に小学生親子を対象に、湯の華や乾燥昆布で製作した自然放射能線源での放射線測定実演のほか、あらたに開発した表面汚染模擬面線源(約30cm×30cmのプレート)を用いて、スクリーニングの体験測定を行い、小学生に対しても、測定にもとづく放射線教育が可能であることが分かった。また実習用具として廉価な測定装置を開発するための調査を開始し、検出器として半導体ダイオーや小型ガス計数管が有望であるとの結論に達した。 福島原発事故以来、一般国民に対し、放射線についての正しい知識が、これまで以上に求められるようになった。そのため、本研究で進めている放射線の性質を実感して体得できる測定実習を開発することは有意義であり、今後ますます重要性が増すと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は「30分測定実習」の教材と手順の完成を目指して、平成22年度に検討した教材や実習手順を放射線教育現場に適用して改良を進めた。この教育実践では受講者代表として家庭と高校生をとりあげたが、その結果、「30分測定実習」を実現するための合理的な方法として「分担測定法」を考案することができた。また新たな教材として表面汚染模擬面線源を開発することが出来た。以上のことより、放射線教育現場に存在する「経験がない、教材がない、十分な時間がない」という問題を解決するための本研究は「(2)おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線教育に関する本研究の意義は、福島原発事故の発生後、さらに高まったと思われる。そのため、研究計画に大きな変更はないが、本研究で開発した放射線教育法を、当初の計画以上に、いかにして、多くの教育現場に広げてゆくかを、検討しなければならないと考えている。
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Research Products
(8 results)