2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境可視化システムの構築によるグリーンIT教育の実践
Project/Area Number |
22500866
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
諏訪 敬祐 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (20366850)
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Keywords | グリーンIT / 環境可視化 / 省エネ / CO2排出量 / センサネットワーク / データベース / インターネット / 環境教育 |
Research Abstract |
本研究は学内でのグリーンIT(省エネルギー化(以下、省エネ)を目標とする環境教育の実践と情報技術を利用した電力消費量の削減)を実現するため学内の教室の環境を「見える化」し、教職員及び学生がいつでも、どこでも利用できる環境可視化システムを構築し、省エネの効果について評価するものである。具体的には、大学の大教室内の空調の環境データ(温度、湿度、電力など)をリアルタイムに計測できるセンサネットワークを学生自ら構築し、可視化した環境データをインターネット上でいつでも、どこでも閲覧できるようにして教職員、学生の環境意識の向上を目的とする。また、教室内の快適性を保ちながら省エネの実現について検証する。 平成23年度は最初に、定員200人、270人規模の2教室の空調環境(温度、湿度、電力量)をリアルタイムに計測できる環境可視化システムを用いて温度と湿度から教室内の快適度について明らかにした。室内環境の快適度を評価する尺度として従来は不快指数が用いられているが、体感とは必ずしも一致していないことから不快指数に替えて建築環境工学で用いられている快適温度により教室内の快適度を表すようにした。快適温度はアンケート調査による申告値から統計的に処理することにより求められる。まず、冷房を使用している季節において授業中のアンケート調査をもとに回帰分析から快適温度が25.1℃になることを明らかにした。次に、この快適温度を中心に室温が±2℃の範囲内であれば快適とし、この範囲外であれば、教室の空調機器をON/OFFする制御方法について検討した。夏季、冬季において室温が快適温度を中心に±2℃の範囲内を保つように冷房、暖房の空調機器をON/OFFする制御するフローを明らかにした。一方、省エネのために講義が行われていない時間に空調が使用されることがないように講義時間外は空調機器をOFFとするように節電を促す表示を行う教卓用モニターの画面表示方法と表示フローを明らかにした。教卓用モニターは講義終了5分前から次の講義が始まる前までの時間「現在、授業は行われていません。空調をOFFにして下さい。」の画面表示を行う。同時に、空調機器の当日の消費電力量と前日の消費電力量を表示する。これにより、教員は講義終了後の空調をOFFにする注意喚起がなされ、教室内の温度、空調機器が消費する電力量を把握できるので、省エネの意識を高めることができる。教室内に設置したモニターを見て空調をON/OFFする制御を行うことにより教室内の快適度は向上し、同時に空調の消費電力の削減が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境可視化システムは順調に稼働しているので、本研究の測定、評価は継続して可能となっている。また、可視化したデータはサーバに蓄積しており、リアルタイムのデータと併せてインターネット上で閲覧できるため研究を担当する学生や教職員の環境意識を高める上で大きく貢献している。従って、研究は予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果をもとに夏季、冬季などの季節毎の快適温度を明らかにし、空調機器の制御方法に反映する。また、授業中にアンケートを実施し、快適性について評価する。さらに、空調機器の制御による省エネ評価(消費電力量削減効果)について夏季、冬季について実施する。環境の可視化は環境教育においては重要であるので、どのような情報端末(パソコン、スマートフォンなど)においても同一表示画面となるようにデザインインタフェース及び表示方法の研究を進める。
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