2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語を使用した協働オンライン学習環境におけるストレスの研究と教授方略の提案
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22500935
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
鄭 仁星 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (90372929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 雅之 北海道工業大学, 未来デザイン学部, 准教授 (10321374)
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Keywords | 教育工学 / e-ラーニング / 第2言語教育 / ストレス / インストラクショナルデザイン |
Research Abstract |
平成23年度は、協働オンライン学習環境でのストレスの要因の型やその影響を計測・評価するためのツールを開発・検証した。昨年度行われた文献研究から得られた5つの次元の要因を実際に高等教育でオンライン協働学習を行う日本の6つの大学の協力を得て調査を行った。分析の結果、4つのストレス要因(自己効力・インストラクショナルデザイン・テクノロジ・協働プロセス)があり、それぞれ個別に学習者に対して影響があることが立証された。現在までこのようなストレス要因を文化背景と共に分析、実証した研究は少なく、また有効なオンライン協働学習を司る要因も未だ十分に研究されていないことから、オンライン協働学習実践において、重要な示唆を与えた事などが評価され、British Journal of Educational Technology誌に掲載と相成った。 また、4つのストレス要因から導き出した教授方略の一覧をまとめた第25回AAOU(Asian Association of Open Universities)国際学会での口頭発表は、アジアに於けるオンライン協働学習の指針となるべきもので、学習者の文化背景を考慮した教授方略が提示され、Best Paper Awardを受賞する栄誉に浴した。現状では、欧米の知見を中心に欧米の学習者とその文化を代表する教授方略が一般的であるが、アジア文化の一部として日本人の学習特性に鑑みた方略の提案は、アジアの研究者たちにインパクトを持って受け入れられた。 加えて、次年度に向けてストレス評価ツールの質問項目の改良と処遇の効果実験を目標として2つの事例研究に着手した。国際基督教大学では、視覚サマリー及び個人フィードバックの効果、北海道工業大学では英語を苦手とする学生に対する認知負担を軽減する処遇の効果を検証する実験が行われた。現在のところ特筆すべき効果や検証結果は得られていないが、これらはパイロット実験として次年度に向けて有用なデータを蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究3年目で期待していた国際学会論文誌への掲載が2年目で達成でき、その後に行った国際会議での発表は、Best Paper Awardを受賞するなど、質的な達成は計画以上に進展している。この点では、高い評価を下しても差し支えないと自負する。しかしながら、当初の計画では実証を伴った研究成果からインストラクショナルデザインの設定を最終目標としており、目標はまだ十分に達成できていないことから。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、計画は概ね順調に実施されており、質的な達成度は極めて高い。当初の計画では「三年間で、ストレス評価ツールを利用しオンライン学習におけるストレスに関連する問題を整理し、ストレス軽減型の教授方略を提案し、協働オンライン学習e-ラーニング用インストラクショナルデザインを提案することを目的とする。」ことを最終目標としていることから、来年度は当初目的に合致するよう実証を国際基督教大学と北海道工業大学の両機関で、教育実践の現場で具体的な教授方略として使用しながら、その効果について実証を重ねることが今後の課題である。
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Research Products
(3 results)