2010 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代における生業復元のための基礎研究ー魚類遺存体の同定を主としてー
Project/Area Number |
22500978
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Research Institution | Iwaki Junior College |
Principal Investigator |
山崎 京美 いわき短期大学, 幼児教育科, 教授 (60221652)
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Keywords | 縄文遺跡 / 先史学 / 魚骨 / 同定 / アトラス |
Research Abstract |
同定用アトラスを作成する研究は動物考古学の量的・質的向上に関わる重要な分野の一つであるが、煩雑な作業を伴うために研究は遅れている。そこで、本研究では縄文時代の貝塚から高い頻度で出土する魚を中心に考古学者向けの骨格アトラスを作成し、基礎的研究環境を整備することを目的とした。研究対象とした地域は縄文時代の生業研究が進展している関東地方であり、沿岸や内陸貝塚で最も出現頻度の高い魚、周知性の高い魚、縄文人の主要漁場と推定される淡水域と汽水域で出土が予想される魚の中からニシン科、カタクチイワシ科、ウナギ科、クロアナゴ科、ハモ科、キュウリウオ科、コイ科、ドジョウ科、ギギ科、ダツ科、サヨリ科、ボラ科、スズキ科、キス科、アジ科、ヒイラギ科、シマイサキ科、タイ科、ウミタナゴ科、サバ科、タチウオ科、ハゼ科、フサカサゴ科、アイナメ科、コチ科、ヒラメ科、カレイ科、フグ科の71種を選択した。これらのうち、今年度は魚類研究者の協力を得てマイワシ、ハモ、サヨリ、スズキ、マアジ、ヘダイ、クロメバル、ウスメバル、カサゴ、アイナメ、コチ、トラフグ、ショウサイフグ、マフグ、シマフグについて収集し、順次、骨格標本を作製することを行った。また、作図面は顎骨・咽頭骨は歯面・裏面の2面観を、脊椎骨は側面・前面・背面の3面観とし、ニシン科およびコイ科に中心に作図した。 一方、上記骨格アトラスと遺跡から出土した動物遺存体データベース(1999年度~2000年度基盤研究(C)成果品)を統合するデータベースの研究においては、今年度は以前の研究で収集対象としなかった1996年以降に出版された文献を中心とし、関東地方の茨城県・栃木県・群馬県を対象に37件の文献を収集した。 今年度は研究対象魚の選定や研究体制の整備が主となったが、次年度は標本・文献の収集活動と共に図化作業を集中して行っていく予定である。
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