2010 Fiscal Year Annual Research Report
活褶曲地帯における地震に伴う斜面変動と地形発達過程に関する研究
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22500994
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Research Institution | Geospatial Information Authority of Japan (Geography and Crustal Dynamics Research Center) |
Principal Investigator |
小荒井 衛 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 室長 (50419876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松原 琢 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (50357026)
黒木 貴一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
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Keywords | 活褶曲 / 斜面変動 / 地形発達過程 / 中越地震 / 中越沖地震 |
Research Abstract |
山古志地区(特に芋川流域)を対象に調査を行った。航空写真判読と航空レーザ測量による1m間隔等高線図の読図により連続平坦面の区分を行い、河床縦断面図を作成した。また、芋川沿いの主要な段丘面に載るローム層のサンプリングを行い、火山灰分析を行い、その結果を基に芋川流域の段丘編年を行った。また、主要な露頭で弾性波探査による風化度の調査を行った。 河床縦断面図を作成すると連続性の良い段丘面が最低でも3つ確認できた。最も低い段丘には風成層は載らず、中間の段丘の風成層にはテフラは認められず、最も高い段丘には風成層の下部に火山ガラスや斜方輝石が認められた。屈折率の測定や化学分析の結果、このテブラは約15kaに噴出した浅間-草津火山灰(As-K)や同じ浅間火山起源で約10kaに噴出したとみられる立川ローム上部ガラス質火山灰(UG)の可能性は否定された。魚野川との合流部に近い標高150mの地点に断片的に存在する段丘からはUGに対比される火山灰が検出された。以上のことから、芋川流域では1.0万年前より古い連続した地形面は存在しない。周辺には中期更新世の古い地形面が存在するのに、芋川流域には新しい地形面が存在しないのは、芋川流域の隆起速度が極めて大きいためと考えられる。芋川流域で最も古い段丘面は現河床とは下流部で比高約20m、上流の東竹沢付近で約30mあり、単にその比高を隆起量のみに限定して考えると、年間2~3mm以上の隆起量となる。 弾性波探査による露頭の風化度調査では、中越地震の崩壊地の露頭と中越地震では崩壊していない切土の露頭とで比較を行い、5m離れた弾性性速度が崩壊地および地すべり土塊の近傍で遅いことを確認した。
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