2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん遺伝子産物START-GAP/DLCファミリータンパク質の細胞内局在化機構
Project/Area Number |
22501016
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
八木澤 仁 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (40192380)
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Keywords | 酵素 / 生体分子 / 細胞・組織 / 癌 / シグナル伝達 / アクチン骨格 / 細胞接着斑 |
Research Abstract |
(1) START-GAPの接着斑局在化機構: A) 接着斑局在化に必要なFAT領域をさらに5つのサブ領域に分けた場合に、tensin2側のPTBドメインとSH2ドメイン(およびその両方)と相互作用がFAT3とFAT4-5のリン酸化を伴う段階的結合反応によることを明らかにした。その際、tensin2とSTART-GAP1は完全に共局在しないことから、別の接着斑因子が、START-GAP1を接着斑で安定化する可能性が示された。 B) 主要な接着斑因子の中でvinculinがSTART-GAP1と直接結合することをプルダウンアッセイならびにインビトロ結合アッセイによって明らかにした。また、テンシンファミリータンパク質であるtensin1とtensin4(CTEN)についてもPTBドメインとSH2ドメインを含むC端側でSTART-GAP1と結合することを明らかにした。 C) START-GAP1はインシュリン刺激によりFAT領域内でAktによるリン酸化を受けるが、接着斑の形成を抑制することの知られている上皮成長因子(EGF)刺激においてSTART-GAP1が可逆的に接着斑から解離することを見いだした。この反応はSrcシグナル経路の阻害剤PP2で抑制されることからリン酸化が関わっていることが示唆される。 (2) START-GAPの接着斑以外の細胞内標的化: START-GAP1は接着斑以外の細胞内にドット状に存在することがある。この構造が何であるかを確かめるために種々の小胞輸送関連マーカーの細胞内分布と比較したところ、オートファゴソームマーカーであるLC3と共局在した。START-GAPがアクチン細胞骨格系の制御だけでなく、細胞内物質輸送にも関連することを示すものである。
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