2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌におけるフコシル化糖鎖合成系の異常とバイオマーカー開発に関する研究
Project/Area Number |
22501029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋田 弘俊 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70222528)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 糖転移酵素 / alfa1,6-フコース転移酵素 |
Research Abstract |
本研究において、alfa1-6フコース付加に関与する一連の酵素タンパク質の発現、及び、その結果つくられるアスパラギン結合型糖鎖のalfa1-6フコース修飾を解析することによって、肺癌における糖転移酵素発現や糖鎖修飾、糖鎖機能の分子生物学意義を明らかにするとともに、疾患や病態との関係を明らかにし、肺癌のバイオマーカー開発の可能性を探索する。 今年度は、臨床的・臨床病理学的情報ならびに各種分子マーカー発現異常に関する解析データが揃った非小細胞肺癌手術摘出腫瘍156腫瘍を材料として、alfa1-6フコース付加に関与する一連の酵素タンパク質のうち、GDP-mannoseからGDP-fucoseを合成する酵素タンパク質GDP-mannose-4,6-dehydratase(GMD)の発現について、特異抗体を用いて免疫組織化学法(Streptavidin biotin法)で解析し、発現を評価した。GMDに対する特異抗体は、三善英知教授(大阪大学大学院医学研究科糖鎖診療学教室)から供与されたものを用いた。 非小細胞肺癌手術摘出腫瘍156腫瘍におけるGMD発現は性別、喫煙、組織型と有意な関係を示し、多変量解析の結果、組織型と有意な関係を示した(非扁平上皮癌に比し扁平上皮癌で低発現)。術後生存期間とは有意な関係を示さなかった。GMD低発現は細胞増殖能を示すKi-67陽性率の高値と有意な関係を示し、分子マーカー発現異常ではサイクリンE高発現と有意な関係を示した。また、GMD発現はalfa1-6FucT発現と有意な関係を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画・予定のとおりに進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
GDP-fucoseをゴルジ装置内に移送するGDP-fucosetransporter発現、レクチン染色によるalfa1,6―フコース合成の解析を含めて、alfa1-6フコース付加に関与する一連のタンパク質発現、及び、その結果つくられるアスパラギン結合型糖鎖のalfa1―6フコース修飾を解析することによって、肺癌における糖転移酵素発現や糖鎖修飾、糖鎖機能の意義を明らかにする。
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