2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジアセチルポリアミンアプタマーを利用した簡便ながん診断方法の確立
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22501036
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小黒 明広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00292508)
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Keywords | 機能性RNA / アプタマー / がん診断 / ジアセチルスペルミン / ポリアミン |
Research Abstract |
RNAアプタマーは、ランダムなRNAプールより結合活性を指標に単離するSELEX法により得られる機能性RNAであり、抗体よりはるかに微細な構造の差異を認識できる特徴を持ち、生体内分子の新規検出・解析ツールとして注目されている。ポリアミン量は増殖の盛んな細胞内で増加するため、がんのバイオマーカーとして有用であることが報告されている。がんの診断系の開発を目標に、各種ポリアミンを高感度で識別・検出するツールとしてのアプタマーの有効性を検証するために、まずスペルミンに結合するRNAアプタマーを作製し、解析を行った。 スペルミンを標的にして取得したアプタマーは、スペルミン、ホモスペルミン、ノルスペルミンといった直鎖状で4つのアミンを持つテトラアミン類に対して強い結合活性を持ち、アミン間の炭素数に対してある程度許容をもつことが分かった。また、このテトラアミンの両端が一級アミン(-NH_2)であることが結合には重要であることを明らかにした。このアプタマーは2つのステムループ構造を持つことが予測され、この構造を基にポリアミン結合部位を調べたところ、3'側のステム構造がスペルミンに対して高い親和性を持っていた。さらに、このステム構造のG-U塩基対をG-C塩基対に換えると結合活性を失うことから、この部位の立体構造が結合活性には重要であることが示唆された。以上を踏まえ、今後さらにアプタマーの最適化を進める。 アプタマーを用いたポリアミン検出系の可能性を調べるため、スペルミンアプタマーをあらかじめ結合させたスペルミン親和性カラムを用いて、溶液中のスペルミンの検出を行った。その結果、10μMから3mMのスペルミンを定量的に検出することが可能であった。さらに核酸に結合する蛍光物質であるGel Red(Biotium社)を使い、溶液中のスペルミンの検出を紫外光下で可視化することができ、アプタマーを用いたポリアミン検出系の有効性を示せた。
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Research Products
(4 results)