2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の生態情報と地域情報に基づくエコロジカルネットワークの再生:トキ採餌環境整備
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22510030
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河口 洋一 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20391617)
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Keywords | 自然再生シナリオ / 生態工学 / トキ野生復帰 / 環境再生技術 / エコロジカルネットワーク / GIS / 水田魚道 / ドジョウ |
Research Abstract |
佐渡島の圃場整備水田域の水路網を対象に、春季(平成23年)と夏季(平成22年)にドジョウの密度調査と物理環境調査を行った。調査後、GIS上で調査地周辺の景観要因を収集し、野外調査の結果とあわせてドジョウの生息環境解析と分布域の地図化を行い、ドジョウの生息環境改善について検討した。解析はGLMとAICによるモデル選択を行った。目的変数はドジョウ密度、説明変数には流速、流速の変動係数、コンクリート、泥、水深、水中植生を、景観要因として水田面積、幹線排水路までの距離、標高、傾斜とした。給水機能、排水機能、幹線排水路との接続性も変数として扱った。 解析の結果、春季と夏季ではドジョウ密度に影響する環境要因は異なり、地図化した水路網におけるドジョウ・ポテンシャルマップも異なった。春季、ドジョウ生息量が大きいと推定された水路網は大きく2ヶ所あり、それらは川と排水路の間で魚類の移動が可能な水路網であった。両季節の解析を通して、川から水路にかけてドジョウの移動を分断する排水施設の存在や、水路の流れを単調にするコンクリート床は、季節に関係なくドジョウ密度を低下させた。季節によってドジョウが利用する水路環境は異なり、分布の仕方も変化するため、ドジョウの生息環境の改善には水田魚道の設置だけでなく、水路内環境の再生も重要と考えられた。 春季のドジョウポテンシャルマップから、水田魚道の設置効果が大きい場所の抽出が可能となり、さらに、その結果と佐渡市の農地GIS(生き物を育む農法の情報(冬期湛水・魚道・江・ビオトープのどれか一つを実施))を重ねることで、ドジョウと農家の両方の視点から、現実的に魚道設置が可能な場所の検討が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部は、現在佐渡市が策定中の生物多様性地域戦略に組み込む手続きを行っており、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
佐渡島の圃場整備水田域の水路網における魚類調査と物理環境調査を行い、主目的である水路網のドジョウポテンシャルマップの作成は終えている。最終年は必要に応じて補足的な現地調査を行い、研究成果の普及・取りまとめ(論文化)にあたる段階にきている。
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Research Products
(3 results)