Research Abstract |
国内起因の海洋ごみの太平洋への流出実態を明らかにすることを目的に,日本辺縁部および北西太平洋の島嶼部海岸において,起因地が明らかなディスポーザブルライターを指標漂着物として採集し,その消費製造国および配布地を求めた。H22年度は伊豆諸島(伊豆大島170本,新島992本,人丈島275本),九州南部宮崎県日南海岸,鹿児島県トカラ列島口之島にて採取調査を行った。また各地のビーチコーマーや海岸清掃事業者に,東京都小笠原諸島(父島127本,母島49本),鹿児島県種子島,トカラ列島(諏訪之瀬島,宝島,計94本),沖縄県与那国島(110本),北西ハワイ諸島(ミッドウェー環礁1,402本),台湾(台北,台中,台南,台東,計779本)およびハワイ諸島(523本)でのライターの採取を依頼した。H15年からH23年3月までのべ1,237海岸で採取された55,889本を分類した結果,黒潮流軸上にある伊豆諸島やその渦流域の小笠原諸島では,関東以西の太平洋側を起因地とするものが主に見られたが,太平洋大循環の中央部にあたるミッドウェー環礁では,日本の黒潮流域沿岸(関東以西の太平洋側)だけでなく,太平洋側の北関東・東北地方を起因地とするものも含まれた。一方で,大循環または黒潮反流の影響を受けると考える台湾東岸では,今回採取されたライターの数が57本しかなく,そこからは日本を起因地とするものはほとんど採取されなかった。2003年から採取してきたサンプルを用いて地域別に消費製造国を比較すると,ミッドウェー環礁では小笠原諸島の割合に近く,日本起源のライターが太平洋に大量に漂流していることが明らかになって来た。
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