2011 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性アナモックス細菌の高濃度集積培養系の確立とリアクター化への展開
Project/Area Number |
22510085
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 智規 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10379901)
|
Keywords | アナモックス / 窒素除去 / 集積培養 |
Research Abstract |
平成22年度に設計した、本集積培養系に存在する二種類の"Candidatus Scalindua"に属する海洋性アナモックス細菌を検出するFISHプローブ(Sca1129a,Sca1129b)の使用条件の最適化後、二種類の海洋性アナモックス細菌を個別に検出することができた。これらのプローブを用いて、二種類のアナモックス細菌の変遷を蛍光面積比に基づいて調べたところ、それぞれのアナモックス細菌の構成比は変化するものの、長期間に渡って二種類が共存していることが明らかになった。そこで塩分濃度、温度条件などを変化させて種ごとの変遷を調査したところ、温度による優占種の変化が観察された。 また、本集積培養系に共存する細菌および古細菌の特定を試みた。全細菌を対象とした系統解析では、アナモックス細菌が17クローン,Gammaproteobacteriaが32クローン,Bacteroidetesが25クローン、その他の細菌が15クローンに分類された。また、古細菌を対象とした系統解析では、10グループに分けることができた。このうち9グループが、機能が未知のEuryarchaeota門、1つがCrenarchaeota門に分類された。 Crenarchaeotaに分類されたものは、アンモニア酸化古細菌に近縁な種であった。リアクターからバイオマスを採取し、古細菌に特異的なプローブを用いてFISH法を試みたが、蛍光シグナルを得ることができなかったので、細胞壁処理を行った後でハイブリダイゼーションを試みたが、同様に蛍光シグナルは得られなかった。そこでCARD-FISH法を試みたところ、古細菌と考えられる蛍光シグナルは得られたが、優占化しているアナモックス細菌の内在性ペルオキシダーゼ活性が強く、古細菌の蛍光シグナルと区別することは困難であった。今後はCARD-FISH法以外の方法を適用する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である共存する細菌・古細菌の群集構造の解析は終了した。また、優占化している二種類の海洋性アナモックス細菌の温度と塩分濃度がこれらの群集構造に及ぼす影響を把握することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は温度や塩分濃度、流入基質濃度などの培養条件を変化させることで、現在二種類優占化している海洋性アナモックス細菌の単一化を目指す。また膜分離技術を導入した培養についても検討し、凝集体として存在している海洋性アナモックス細菌のシングルセル化も試みる。これらが運成されれば、基質親和性などの動力学的定数を求めることができる。
|
Research Products
(6 results)