2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノクラスターのポストキラル変換と不斉光学応答
Project/Area Number |
22510104
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
八尾 浩史 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (20261282)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
|
Keywords | 金属ナノクラスター / ポストキラル変換 / 光学活性 / 不斉誘導 / 円偏光二色性 / ジチオール連結 / 磁気円二色性 / スペクトル分割 |
Research Abstract |
キラルなチオールで保護された金属ナノクラスターの不斉光学応答に関する研究は最近大きな進歩を遂げ、構造が明確に定義されたAu25やAu38クラスターの光学活性発現の概要が明らかとなった。特に興味深いのは、その起源が表面構造の本質的不斉や、配位子の不斉場誘起効果による場合など、単純ではない点にある。本研究者も、様々なナノクラスターが示す光学活性とその表面・電子状態との関連を研究し、詳細なメカニズムを解明する事を目指して来た。本年度は、ポストキラル変換手法を用いて、シングル金属ナノクラスターが発現する不斉光学応答と、磁気円二色性(MCD)応答との相関を詳細に調べる事、高次構造化によるその変化を明らかにする事を最大の目的として研究を展開した。MCDは印加外部磁場によって分裂したナノクラスターの基底状態や励起状態間の遷移を検出するものであり、その縮退の有無等、電子状態の詳細を知る事ができる。表面がフェニルボロン酸で保護された単一サイズの金ナノクラスターを新規に作製し、これがキラルなフルクトースと反応する事を利用してポストキラル変換を試みると共に、その電子状態等をMCD測定により詳しく調べた。この系の不斉光学応答はpH可逆性を示す興味深い結果が得られた。また、MCD測定によって吸収スペクトルに隠れていた新たな電子状態が明らかとなり、これまで説明ができなかった不斉光学(CD)応答の複雑な形状を解釈する事が可能となった。この手法をAu25クラスターに適用し、その電子状態(特に励起状態)の縮退性などを初めて解明した。これは理論からの予測とは異なり、更なる検討の必要性を訴える事となった。更に、金クラスターのキラル連結をキラルジチオールによって試み、そのCD応答発現のメカニズムに迫った。その結果、本質的に不斉となり得るヘリカルな表面連結が大きな光学活性を与える可能性がある事を実験的に示した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|