2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーダポーラリメトリによる地震被災住宅の高精度識別手法の開発およびその活用
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22510188
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 亮一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00293184)
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Keywords | 地震 / 被災地観測 / 地球観測 / リモートセンシング / レーダポーラリメト / 合成開口レーダ / 偏波散乱解析 / FDTD解析 |
Research Abstract |
PolSAR画像解析を用いた地震被災住宅の高精度識別手法の開発を行うため、「粗面上に置かれた住宅モデルに対する偏波散乱解析」を行った。 はじめに、新たに導入した大容量メモリを搭載した解析装置を用いて,ランダム粗面を精密にモデル化し、FDTD法による偏波散乱解析を行った.精度を確認するために、規則性をもつ完全電気導体の粗面を作成し、高性能電波暗室(昨年に新潟大学に新設)において測定された測定値と比較し、本解析手法の妥当性を確認した。なお、測定においては、90cm×90cmサイズのスケールモデルを用いたが、時間領域でフィルタをかけることにより、モデル端部の影響を取り除いている。 次に、大規模なランダム粗面モデルに対する偏波散乱解析を行った。大容量メモリをフルに使ってモデル化し、ランダム粗面と見なせるための解析領域のサイズを決定した。 以上の粗面のみの解析結果を基に、粗面上に複数の住宅モデル(誘電体四角柱)を配置した場合の偏波散乱解析を行った。PolSARの照射方向の変化、および住宅が変形した場合にどのように体積散乱成分等の偏波指標が変化するのかについて詳細に調べた。解析の結果、被災による住宅の変形が偏波散乱特性に大きく影響することがわかり、被災住宅識別に有効に活かせることがわかった。この結果は、衛星搭載PolSARであるALOS/PALSARにより取得されたデータに対して散乱電力分解法を適用して得られた画像からも確認でき、地震被災住宅の識別に役立つものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って研究がなされ、期待していた成果が出た。特に、偏波散乱解析においては、計画の内容を超え、地震により住宅が変形した場合を想定した高精度なシミュレーションを行った結果、被災住宅識別に有効と思われる指標の「組み合わせ」があることがわかった。また、交差偏波発生メカニズムを簡易的に確認するツールであるSBRアルゴリズムの高効率化も一部実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
専門家以外の人に被災状況を瞬時に把握してもらうためには、写真のような(一目で被災地とわかる)画像を提供するのが望ましい。しかし、そのような画像(PolSAR画像)を作成する場合、植生領域を含め、精度良く体積散乱成分を評価しようとすると、既存アルゴリズム(Adaptive NNED)では計算効率が良くないため、膨大な時間を消費してしまう。そこで次年度は、PolSAR画像を作成する際に用いている計算アルゴリズムの高効率化を目指す。
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Research Products
(4 results)