2011 Fiscal Year Annual Research Report
HIV/AIDS問題に対処するローカルな公共性の構築に関する研究
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22510263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 真如 京都大学, 東南アジア研究所, 特定助教 (10444473)
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Keywords | HIV/AIDS / 公共性 / アフリカ |
Research Abstract |
エチオピアおよびウガンダにおいて、2011年12月21日から2012年1月11日までの期間、HIV感染症問題に関する現地調査を実施した。エチオピアでは、南部州グラゲ県において昨年度に引き続き、HIV不一致カップル(一方がHIVに感染しており、他方が感染していないカップル)に関する聞き取りおよび、HIVの影響を受けた世帯の生計を支えるための地域住民の取り組みについて聞き取り調査を行った。また首都アジスアベバにおいてアジスアベバ大学社会学部G.インティソ教授を訪問し、エチオピア農村の地域医療に関する意見交換を行った。またウガンダでは、首都カンパラにおいてマケレレ大学社会学部E.キルミラ教授および同社会科学研究所Mマムダニ教授を訪問し、HIV陽性者に対する地域住民のサポートについて意見交換すると共に、資料収集を行った。 また平成22年度および23年度の現地調査を含む本研究の成果をふまえて、論文2編、共著書1編を発表すると共に、学会および国際会議で報告を行った。これまでHIV問題をあつかった公衆衛生上の研究は、陽性者を感染リスクとみなすことが多く、他方で医療人類学/医療社会学的な研究は、陽性者どうしの結びつきや治療へのアクセスについて論じることが多かった。これに対して本研究の成果は、HIV不一致カップルやHIVの影響を受けた世帯の生計維持という視点から、ウイルスに感染した者と感染していない者とが共存するための技術的・制度的・倫理的な条件について考察したもので、医療人類学および公衆衛生の双方に新たな視点を提供するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、HIVに感染した者と感染していない者とが、互いの健康に配慮しながら共存することを可能にするような、ローカルな公共性が構築される過程を明らかにすることであるが、これまでエチオピアの南部州グラゲ県を中心に2度の現地調査を実施し、HIV不一致カップルの関係や、HIVの影響を受けた世帯の生計という視点から、上記の過程について聞き取り調査をおこなうことができた。また本研究の成果はこれまでに、雑誌論文、共著書、学会発表の形で公表している。加えて、市民を対象としたシンポジウムを開催して本研究に関わる討論もおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に推移しており、最終年度となる平成24年度は、追加的な現地調査を実施するほか、国際誌に投稿する学術論文の執筆をおこなう。また市民を対象としたシンポジウムを開催して、本研究の成果について討論する。
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Research Products
(5 results)