2010 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル国オンギ河流域におけるニンジャの実証的研究:遊牧民との社会関係を中心に
Project/Area Number |
22510267
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
思 沁夫 大阪大学, グローバルコラポレーションセンター, 特任准教授 (40452445)
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Keywords | ニンジャ / ゾド(自然災害) / 鉱物資源 / 汚染(水銀など) / セーフティーネット / 交通手段 / 流動化 |
Research Abstract |
本研究課題は、モンゴル国オブルハンガイ県オンギ河流域における「ニンジャ(沙金を掘る人々)」の活動実態、組織の特徴、周辺遊牧民との関係について、現地調査、地域住民との交流・対話を行ない、ニンジャと遊牧民の対立関係、非循環的な自然関係から地域社会の再生と自然環境の持続的利用の可能性を構築することである。平成22年度は、現地調査、学術会議、地域住民とのワークショップなどを通じて、以下のことを明らかにした。 1. 「ゾド(自然災害)」はニンジャと密接な関係がある。2009年末から2010年にかけて、モンゴルは大雪の被害に遭い、オンギ河流域の自然災害で家畜を失った遊牧民の中にニンジャ集団に加えた人がいた。民主化以降のモンゴルでは、個人化と市場化が急速に進められ、社会連帯感が薄れ、国、地域の救済、支援システム(セーフティーネット)があまり機能しなくなり、また、町には就職口があまりないことと関係していることが明らかになった。 2. ニンジャ集団の多様化、流動化、機械化が進んでいる。今まで、ニンジャが集まる場所は主に社会主義時代開発された鉱山であった。しかし、近年ニンジャたちは自分で鉱物を探し、掘る現象がみられる。これを可能したのは、ニンジャたちが鉱物資源の分布、鉱脈等に関する情報を収集しやすくなり(ニンジャ集団内部で経験がかなり蓄積されていることも)、自動車の普及と関係している。この変化は地域の取り組み(環境保護)をさらに困難にしている。 3. 自然資源をめぐる国際政治の動きとモンゴルの鉱山開発ブームとの関係、さらにニンジャ集団を拡大させていることもある程度明らかになった。 22年度では、ニンジャが置かれている現状とモンゴル社会の状況、そして地域社会の対応について多くのデータを収集することができた。次年度の調査研究では、ニンジャに関する調査を継続すると同時に、地域社会の異なる主体との関係、地域住民の信仰についての調査、収集したデータの分析、研究成果の活字化、公開化を行なう。
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Research Products
(4 results)