2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化・人口減少・財政危機が進む地域再生のあり方についての研究
Project/Area Number |
22510278
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
橋本 行史 関西大学, 政策創造学部, 教授 (30319826)
|
Keywords | 地域特性 / ロケーション / 外部者 / 世代交代 / 被災者支援 / ガバナンス / 自由意思活動 / アジア |
Research Abstract |
1.具体的内容 前年度に引き続き北海道夕張地区を中心とした地域の現地調査を実施するとともに、年度後半に九州東北部地域の現地調査を実施して、双方で行われている地域再生への試みを収集、特性を分析した。 1夕張及び周辺地区の産業活性化 (1)夕張周辺地区の農家レストランの盛況(地産地消、健康志向、営業形態に興味深い3タイプが存在) (2)地域特性と企業戦略による企業進出(日本最大の漢方薬メーカーツムラの進出、北海道中央部のロケーションを最重要視、飛行機・陸送の便利性、中国の漢方薬価格の高騰見込み) (3)外部資本の流入(花畑牧場の事業拡大、夕張迎賓館におけるレストラン・宿泊施設の開業) (4)炭鉱都市夕張に日本酒を製造販売していた「北の錦」の積極的販売戦略 2夕張地区におけるコミュニティ再構築 (1)世代交代 (2)東日本大震災への被災者支援活動 (3)夕張ファンタの活動の広がり(参加者の自由意思に基づく活動は活発化) 3九州東北部の活性化 (1)地域の文化的背景の強い影響 (2)セグメンテーション(別府八湯、一村一品、一店逸品)と地域間競争(からあげの町) (3)アジアの観光客を意識した看板の設置 2.意義、重要性 グローバル化・人口減少・財政危機とそれに伴う地方の疲弊は、全国の地方に共通する一般的な現象になろうとしているが、そんな中、過疎衰退で先行する北海道の旧産炭地域や類似地域での地域再生への歩みは、全国で直面する地域活性化に向けての試みの貴重な先行事例であり、実践的示唆が詰まっているので、本研究が持つ公共的価値は高い。また、本研究は、日本の後追いで過疎衰退に直面するアジア諸国にも有意義な研究として位置づけられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のための調査資料の収集は当初予定通りに進んでいる。研究成果の公表が未だであるが、本年度内には研究の途中経過と研究成果について口頭発表・論文発表を行い、他の研究者の意見や評価を聞く機会が設ける。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は当該研究の最終年度であるので、研究の完成を意識して、北海道夕張地区及び周辺地区において、補足的調査を実施する(テーマ:経済の活性化、コミュニティの再構築、行政支援と最適行政制度)。また、他地域との比較を通じて、地域再生のための理論と実践についての考察を深める。本年度は、研究成果の学会報告を行う予定であり、年度末には、研究報告書のとりまとめに移りたい。なお、本研究の残された課題である東アジアの過疎衰退と地域再生の状況についても時間的に余裕があれば取組みを行う。
|