2010 Fiscal Year Annual Research Report
船舶におけるジェンダー形成の分析-女性船員の受容と育成に関する国際比較研究
Project/Area Number |
22510299
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Research Institution | Oshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
石田 依子 大島商船高等専門学校, 一般科目, 准教授 (40370027)
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Keywords | ジェンダー / 女性船員 / 船舶 / 商船教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、海運界ではジェンダーがどのように認識されるべきかということを、欧州と日本を中心に国際的に比較し、分析することである。本年度においては次の点を明らかにした。 (1)18~20世紀の欧州の海事史における女性船員の変遷をたどった。女性が正式に客船の乗組員に雇用されたのは1900年頃の汽船時代であり、女性が最初に士官候補生として雇用されたのは1960年代後半になってからということがわかった。これは主にヨーロッパで男性船員の数が減少したことに対する対策であったが、このような船員不足は1990年代にはさらに顕著になり、国際海事機関(IMO)が海運界のジェンダー改革を促進させる計画を打ち出すに至っている。過去の女子船員の存在状況を調べたことで、女性が船員として認められた背景にはいつの時代も男性の船員不足という問題が深く絡んでいたことが判明した。 (2)現在の欧州と我が国における船舶業界の女性船員の雇用状況を調査した。本年度はイギリスを対象国とし、5つの船会社を訪問やアンケートによって調査を行った。我国に関しては、約105件の外航・内航の船社を訪問、電話、アンケートによって調査を行ったが、女性の雇用を積極的に行っている船社は5%にすぎないということがわかった。今後は北欧の船社の調査が課題となっているので、今年度に得た国内外の結果と照らし合わせて国際的に比較分析する。 (3)イギリスの海事教育機関では女性船員の養成にどのような取組がなされているかということを調査した。3校の教育機関を訪問したが、女子船員育成について特に留意している教育機関は1校だけであった。 今後の課題は、我国と北欧の海事教育の調査を実施し、イギリスで得た結果と国際的に比較検討することである。
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Research Products
(5 results)