2011 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション論とコーチング理論の複合による高校・大学での倫理学授業の再構築
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22520008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 沙千子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10365992)
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Keywords | コミュニケーション / ハーバーマス / 倫理学授業 / 哲学カフェ / 中等・高等教育 / 大学での授業改革 / 公民科授業 / 対話型授業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ユルゲン・ハーバーマスのコミュニケーション論をもとに、精神分析理論やコーチング理論などを使いながら、現況の倫理教育(高等学校)・倫理学教育(大学)の授業空間を反省・再構築する理論を、一般の倫理教育・倫理学教育の現場で誰にでも応用可能なコミュニケーションの技術論として提示することである。 本年度は、前半で、まず、ハーバーマスの理論研究を通して実践化できる可能性を持つコミュニケーション論を用いた授業理論仮説を作成し、後半で、実際に大学の授業などで実践し、その授業を授業研究を通して分析した。 その際、中等・高等教育の倫理学授業または公民科授業においては、とりわけハーバーマスの理論を「哲学カフェ」として実践することが非常に有効であることが明らかになったことは特筆すべきである。「哲学カフェ」の形式での授業実践は、誰にでもアプローチしやすく、かつ授業改善のイメージを持ちやすく、また具体的に授業の姿の変化が感じられやすい有益なシステムである。 本年度は、ほぼ毎月一回程度の授業実践・分析および年9回にわたる哲学カフェ実施、また毎月の研究会を開催し、それを研究報告として研究回答で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究プロセスが非常に順調に進み、既に一定の仮説が提出できたことは高く評価できる。また、本研究並びに実践が、哲学カフェ及び授業改革に関しては日本でも中心的な立場の本間直樹准教授(大阪大学)に高く評価されたこと、今年度は本間准教授に私の授業実践ならびに哲学カフェを視察・分析していただく予定であることも特記しておきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究最終年度として、筑波大学、茨城県内の複数の高校ならびに都内の高校などでも「哲学カフェ」によるコミユニケーション型の授業を行う予定である。そこで、前年度構築した研究仮説の検証を行っていきたい。 また、学会等の報告を含め、研究の成果を広く社会に発表していく予定である。
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