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2011 Fiscal Year Annual Research Report

批評的実践に基づく道徳教育の研究

Research Project

Project/Area Number 22520017
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

石井 潔  静岡大学, 理事 (80176130)

Keywords批評 / クリティカル・シンキング / 多様性 / 多文化共生 / 市民科
Research Abstract

まず文献研究については、初等中等教育から高等教育に至るまでその能力育成の必要性が指摘されている「クリティカル・シンキング」に関わる教材やその理論的背景となる文献の収集と分析を行った。固定化された視点から対象を考察するのではなく、様々な文化的事象やテキストを多様な視点から「批評」的に「読む」ことを求める「クリティカル・シンキング」は、西欧における近代科学革命や啓蒙思想にその理論的起源をもつが、同時に非西欧圏の文化のなかにも同様の多様性志向は多く見られ、その意味で国境を越えた普遍性を有している。特にこのうち、インド的文脈から出発し、従来の義務論的正義論にとらわれず、帰結主義、民主主義等の諸要素を包括したいわば「批評」的正義論を提起しているセンの議論については、批評理論等に関する研究会おいて予備的な発表を行った。
また実地調査については、「クリティカル・シンキング」の育成に焦点をあてた広島大学附属福山中・高等学校の教育研究会に参加し、社会科の授業のなかで生徒に「批評」的態度を形成する授業の組み立て、教材の取扱いについて、宗教改革における主な論争の整理の仕方に即して重要な知見を得ることができた。また東京学芸大学国際教育センター主催の「多文化共生フォーラム」に参加し、高校段階での道徳教育の役割を期待されている「市民科」カリキュラムのなかで、人権教育としての多文化共生教育とは相対的に区別される「多様な視点の形成」という教育目標のなかで「批評」的実践が重要な位置づけを与えられていることについていくつかの具体的授業的展開に即した情報を得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

学校教育のなかでの批評的実践活動の核となる「クリティカル・シンキング」について、具体的な授業展開に基づく様々な知見を獲得することができた。またその理論的背景についての文献に基づく分析により、批評性が科学的知識や民主主義的意思決定等の様々な要素と重層的な関係をもつことを明らかにすることができた。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度は本研究の採集年度にあたるため、文献研究及び実地調査をもとに批評的実践に基づく道徳教育の授業案を作成し、公表する予定である。また海外における道徳教育と批評的実践との関係については、現時点では文献研究及び実地調査とも十分とは言えないので、研究計画書に記したシンガポールに特に焦点をあて、情報収集に努める予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] クリティシズムとしての哲学2012

    • Author(s)
      石井 潔
    • Journal Title

      日本の科学者

      Volume: Vol.47 No.2 Pages: 28-33

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 大学教育とジャーナリスティックな語り2012

    • Author(s)
      石井潔
    • Journal Title

      KEIO SFC JOURNAL

      Volume: Vol.11 No.2 Pages: 7-17

URL: 

Published: 2013-06-26  

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