2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520026
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊佐敷 隆弘 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50274767)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 時間 / 未来 / 分析形而上学 / カテゴリー / ロウ |
Research Abstract |
本研究の目的は,未来という時間の存在論的身分を明らかにすることである。 本年度はこの問題設定の背景となる存在論的カテゴリーについて研究を行った。即ち,論文「ロウの4カテゴリー存在論(1)」において,現代の代表的な分析形而上学者であるジョナサン・ロウの4カテゴリー存在論について考察した。ロウは「個体/普遍」と「実体的/非実体的」という2つの区別を交差させることによって,対象(実体的個体)・モード(非実体的個体)・種(実体的普遍)・属性(非実体的普遍)という4つの根本的カテゴリーを立てる。(モードは「トロープ」とも呼ばれる。「個体としての性質」のことである。)これら4カテゴリーの間には「個体は普遍を実例化し,非実体は実体を特徴づける」という存在論的関係があり,かつ,(ロウによると)普遍は個体なしでは存在できない。ロウは,「根本的カテゴリーの種類が少ない節約的な他のカテゴリー論(キャンベル,アームストロング,マルティンなどのカテゴリー論)よりも,4カテゴリー存在論は説明力の点で優れている」と主張する。即ち,4カテゴリー存在論は①性質の知覚,②トロープの個別化,③自然法則の分析,④傾向性の分析などの問題をそれらのカテゴリー論よりも適切に解決する。即ち,①個体だけが因果関係に入りうるので,知覚はモードを必要とする。②モード(トロープ)は対象のあり方であって,その存在と同一性は対象に依存する。③自然法則とは,「種が属性によって特徴づけられる」ということである。④傾向性とは,「対象が,或る属性によって特徴づけられる種の実例である」ということであり,他方,生起状態とは,「対象が,或る属性の実例であるモードによって,特徴づけられる」ということである。このようにして,ロウは,対象・モード・種・属性の4つの根本的カテゴリーによって,知覚・トロープ・自然法則・傾向性を統一的に説明するのである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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