2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520032
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
金子 洋之 専修大学, 文学部, 教授 (60191988)
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Keywords | ブラウワー / ワイル / 証明の認識論 / 論理学の哲学 / 数学の哲学 / 直観主義論理学 / フレーゲ / ダメット |
Research Abstract |
本研究の目的は、証明概芯に基づく意味論という構想を全面的に見直し、それを再構築することであるが、22年度は、そのための前段階として「証明」ということで何が考えられてきたのかを歴史的に見直すという作業を行った。その手がかりは、主として、いわゆる「論理学的証明」に対して批判的な人々、例えば、L.E.J.ブラウワー、ヘルマン・ワイル、アンリ・ポワンカレなどの見解である。これらの人々の諸説の検討を通して明らかになってきたのは、19世紀後半以降の数学の展開の中で、形式的な証明のもつ効力・力の認識が高まっていく一方、それに対抗するもう一つの潮流として「証明の認識論」とでも言うべきものを重視する立場があったことである。もちろんこの後者の流れは、「数学的直観」のような半ば神秘的な能力を持ち出すような立場ではない。むしろ、この立場の人々は、論理的証明の機械的ステップによっては取り逃がされてしまうような認識的な質(これをワイルは理解と呼び、ブラウワーは経験と呼び、ポワンカレは総合性と呼んでいる)が存在すること、そしてこの質の保存こそが証明にとって本質的であることを論証しようとしているとみなすことができる。そこで、22年度はとこのような「証明の認識論」と呼ぶべきものをどのように定式化できるか、またこの認識論と従来の証明論での様々な技法がどのように関連するかということにについて研究を行った。現時点ではまだ論文等公表の段階にまでは至っていないが、23年度中には成果として発表したいと考えている。
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