2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520032
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
金子 洋之 専修大学, 文学部, 教授 (60191988)
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Keywords | 証明の認識論 / 証明論的意味論 / 数学の哲学 / 論理学の哲学 / ダメット / 直観主義 / ブラウワー / フレーゲ |
Research Abstract |
本研究の目的は、証明概念に基づく意味論という構想を全面的に見直し、それを再構築することであるが、22年度は、そのための予備作業として「証明の認識論」と呼ばれるような立場の解明作業を行った。本年度は、それを受け、論理学の有用性をどのように説明するかという問題と、証明論的意味論のかかわりについての分析を行った。その結果、論理学の妥当性を保持しつつ、同時にその有用性を説明するという困難な課題は、現在のところ、証明論的意味論の枠組を採用する立場からしか解決されていないことを明らかにすることができた。これは、証明論的意味論の立場を支持する強力な論証の一つになりうると考えられる。しかしながら、その一方で、「証明の認識論」と称してきた立場からすれば、証明論的意味論からの有用性理解は十分なものではないことが指摘できる。例えば、数学的証明は、しばしば数学的概念の変更や証明された定理そのものの意義を変化させることがあるが(定理の妥当性は保持したままで)、そうした概念形成や概念の変更に論理的な証明の各ステップがどのような形で寄与しうるかは、上述の有用性の説明だけからは明らかにならない。それゆえ、そこから示唆されるのは、論理的推論の有用性を説明する路線は必ずしも単層的なものではなく、複層的なものと考えるしかないということである。これは最終年度に引き継がれるべき課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた課題から派生した副次的課題にいささか時間をとられてしまったことと、学内業務に時間をとられ、予定のエフォート量にやや不足があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
達成度の遅れについては、本年度の研究により充分取り戻しうると考える。過去二年の研究により、焦点は充分絞ることができたので、研究課題に変更を加える予定はない。
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Research Products
(3 results)