2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の文様、雲気文などがもつ復活再生観念の研究
Project/Area Number |
22520047
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大形 徹 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60152063)
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Keywords | 雲気文 / 復活再生観念 / 龍 / パルメット / 中国古代 / 鹿の角 / 馬王堆 / パジリク |
Research Abstract |
「雪気文と鹿の角(『形の立化研究』)」では、雲気文の起源が鹿の角にもとづくことを考察した。その淵源はスキタイの鹿の角の文様化に求められる。角は大きく成長し、また生えかわることから復活再生観念をもつとされた。そのことから雲気文は、死者の復活再生をうながすと考えられ、墓葬の装飾等に用いられた。またこれは睡蓮の文様、パルメットとも組み合わされた。睡蓮はエジプトで太陽の象徴とされ、沈んだ太陽が、また昇ることから、やはり復活再生観念をもつと考えられている。中国では、雲気文はさらに龍と結びつけられた。龍は、死者の魂を天界に運び、その復活再生を助ける動物である。龍の体の一部が雲気文になっており、さらに尻尾の先にパルメットの花が咲いているものがある。これは、復活再生に関わる文様を宝づくしのように重ね合わせて表現することで、その効力が増すと考えられたからであろう。 「『荘子』逍遥遊篇冒頭の話と馬王堆帛面-魚・鳥・太陽・扶桑をめぐって-『郵政考古紀要』)」では、馬王堆帛画の魚・鳥・太陽・扶桑のモチーフが、『荘子』逍遥遊篇の鯤(魚)・鵬(鳥)・青天(太陽)・扶揺(扶桑)と重なり合うことを明らかにした。鯤・鵬は鴻蒙(外篇在宥)と関連し、また渾沌(内篇応帝王)に通じる。これはさらに渾敦(『山海経』西山経〉→帝江(『山海経』西山経)→帝鴻(『左伝』文十八年)→黄帝(杜預注)→上帝(鐵井慶紀「黄帝伝説について」)→太陽神(同)とつながっていく。つまり、すべて太陽の復活再生と関連している。それらによって『荘子』や馬王堆帛画の復活再生にもとづく死生観が形成されていると考えた。
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Research Products
(5 results)