2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520051
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
〓 東風 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50335882)
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Keywords | 天台智者 / 出身地 / 玉泉寺 / 関羽 / 御利益を示す / 古拙俊 / 遺跡 |
Research Abstract |
1)「智者大師出身地考辯」は、天台智者の出身地を検証したものである。天台智者は天台宗の創立者であるため、彼に関する研究は数多い。しかし、彼の出身地がどこであったかは、従来、曖昧なままにされてきた。最古の文献の記録によれば、智〓の出身地は「荊州の華容県」であった。しかし従来の研究ではその華容県がどこなのか不明確であったために、研究者は、一般的な歴史地理関係の辞書に頼って解説するほかなかったのである。本論は、文献資料の再検討、華容県の歴史的沿革の考察、従来の諸説の分析、及び公安県における天台智者の遺跡調査などを踏まえ、天台智者の出身地が現在の湖北省公安県であったことを明らかにした。 2)「古拙俊和尚及びその資料と遺跡」は、古拙俊の経歴や伝承、資料や遺跡などを検証した論考である。古拙俊は、明代初期臨済宗の禅僧で、「宋元以来の径山師範の禅系」から「明代前期の四川仏教」への移行に際して、多大な貢献をした人物である。しかし、従来、彼の法名すら不明とされ、彼に関する研究は皆無であったといってよい。本論は、「明代前期四川仏教の研究」の一環として、関連文献や遺跡の調査を踏まえて、古拙俊の生涯や中国国家図書館所蔵の遺著について、また、南京天界寺の遺跡について明らかにした。 3)「当陽玉泉寺元代鐘銘及関公顕聖伝説之考察」は、当陽玉泉寺の元代鐘銘の内容、関連史実、及び関羽と仏教との伝説について考察したものである。湖北省当陽県の玉泉寺は荊楚地方の仏教聖地であり、天台宗や関羽信仰の発祥地でもある。玉泉寺の元代の鐘銘には、関羽の魂が、玉泉山で御利益を示し、天台智者を助けて玉泉寺を建てさせた、という伝説が記録されている。本論は、この元代の鐘銘を手がかりとして、元代玉泉寺の歴史と、玉泉山における関羽信仰の伝説とを考察し、隋唐時代から宋代にかけて、関羽信仰には様々なバージョンがあったことを明らかにした。
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Research Products
(12 results)