2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520051
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
[シン] 東風 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50335882)
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Keywords | 遺跡調査 / 古拙俊 / 道林無際 / 明代前期 / 四川仏教 / 玉泉寺 / 関羽信仰 / 朱弁 |
Research Abstract |
「道林無際禅師考」は、明代臨済宗の僧道林無際(1381-1446)の経歴と思想などについて考察したものである。無際禅師は明代前期四川仏教の代表者であるが、従来、彼に関する研究は殆どなされていない。本論文は、関係史料の記載を分析し、彼の早期の経歴・古拙禅師との関係・四川地方での活動・北京での活動、語録の記載・「心薬方」との関係・関係遺跡などについて明らかにした。 「関於古拙・無際的資料与遺跡」(古拙・無際の資料と遺跡について)は、研究代表者が遺跡調査によって収集した、古拙・無際師弟2人の関係資料及び遺跡の調査報告である。内容は、(1)古拙和尚の遺著、(2)道林寺の碑文、(3)木門寺の碑文、(4)寂光寺の碑文、(5)古拙・無際の遺跡など五つの部分から成り、文字の校勘・遺跡の歴史と現状に関する説明を加え、一般の歴史文献記載には見られない資料集となっている。 「当陽玉泉寺関公顕聖伝説考」(当陽玉泉寺における関羽の御利益を示す伝説の考察)は、関羽を仏教の護法神とする信仰は如何に発生・変化したのを考察するものである。本論文は、当陽玉泉寺の元代鐘銘および他の文献資料の記載を手かがりとして、関羽信仰は、最初は玉泉寺の仏教とは無関係であったが、宋代に玉泉寺仏教の護法神となり、明代にその護法神は普浄禅師に変わった、という事実を明らかにした。 他の三本は、本研究課題の範囲外のものであるが、何れも遺跡調査の方法を用いて中国仏教の歴史文化を考察したものである。「寧波七塔寺相関史実考略」は、寧波七塔寺に関する一部の史実を、また「関於仏教的『天』与世界図式」(仏教の「天」と世界図式について)は、仏教における「天」及び世界図式を、「関於朱弁的追跡調査」(朱弁に関する追跡調査)は、遺跡調査によって宋金時代の朱弁に関する種々の事実を、それぞれ明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
23年度には、当初の計画以上に、多くの論文や学会での発表を行うことができた。その理由は、 1、限られた研究時間の中で、研究代表者は一生懸命努力した。 2、研究代表者には、これまでの遺跡調査と資料の蓄積がある。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、本研究課題の3年目にあたり、当初の研究計画にしたがって推進したいと考えている。具体的には、 (1)これまで取り上げていない部分の検討(例えば、江西禅宗遺跡の調査および資料の分析整理、荊楚仏教研究の補足など)。 (2)これまでの研究成果をまとめる。 (3)本研究課題に関する報告書の作成。 なお、将来的には、本研究課題と同じ方法によって、遼金元時代における北方仏教の歴史文化的研究を計画している。
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Research Products
(20 results)