2010 Fiscal Year Annual Research Report
占領による宗教制度改革と戦後宗教史の再検討に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
22520066
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中野 毅 創価大学, 文学部, 教授 (00164252)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 賢太 南山大学, 宗教文化研究所, 研究員 (30558911)
|
Keywords | 日本占領 / 宗教 / 沖縄 / 県別の影響 |
Research Abstract |
本年度の研究は、(1)この20年間に占領研究がどの程度進展したかを確認する。(2)沖縄と本土との占領政策の違いがいかなる影響を及ぼしたか。(3)現在の占領研究者との連携を図ること、などを中心に行った。 まず近年の関連研究書を調べ、文献一覧の作成とともに重要と思われる書籍を収集・検討した。また神道指令の作成経過を解明するため国会図書館所蔵のCIE文書ほかの史料を再調査し、一部をpdf化した。また南山大学宗教文化研究所その他と連携をとり、国内外の「占領と宗教」研究者との交流を深めた。現地調査としては、中野は沖縄を訪問して公文書館の占領資料の蓄積と整理を確認し、最初の集団自決が問題となっている座間味島や普天間移転先とされている辺野古などの現状を視察した。また本土の地域ごとの占領実施状況の相違を調べるため茨城や千葉の地域研究の現状を調べた。粟津は沖縄を集中的に調べるため、現地の遺骨収集に参加し、その現状を調査した。 これらの作業から得た知見は、(1)近年の占領研究は、米国のジョン・ダワーに代表されるように、米国の日本占領への批判的再検討がなされていること。(2)日本占領における本土と沖縄の差は大きく、沖縄は返還されたといっても基地問題その他で占領の継続という状況が未だに強いこと。(3)日本本土の占領研究は各県・地域ごとの実態研究が若干ではあるが進んでいること。(4)占領期間の資料収集と整理は、中央においては国立国会図書館、沖縄は県立公文書館、他の地方においては幾つかの県立機関が行っていること。しかし全体としては、近年はさほど進展していないこと。(5)宗教に関連するものは国会図書館の『新編・靖国神社問題資料集』(平成19年)が大きな成果であるが、全体としては少ないこと、などが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)