2011 Fiscal Year Annual Research Report
占領による宗教制度改革と戦後宗教史の再検討に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
22520066
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中野 毅 創価大学, 文学部・人間学科, 教授 (00164252)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 賢太 南山大学, 付置研究所, 研究員 (30558911)
|
Keywords | 宗教 / 日本占領 / 政教分離 / 沖縄 |
Research Abstract |
1.米国における日本占領政策の策定過程を再検討するための史資料の所在を詳細に調べた。 連合軍総司令部(GHQ)関連の主要な資料は米国国立公文書館(ワシントンDC、およびメリーランド州カレッジパークの第二別館)であり、日本の国立国会図書館憲政資料室も多くを収蔵していることなどを再確認した。またGHQの民間情報教育局(CIE)の文書は創大・中野研究室も既に収蔵している。まず、これら日本にある史資料の更なる発掘・解読が必要であることを確認し、デジタル化と解読作業を開始した。 天皇制と日本宗教に関する戦中・占領時の史料で、Joseph GrewやBonner Fellers等の十分検討されていないものがハーバード大学図書館に、またCIA関係の文書がメリーランドの公文書館にあることが判明した。24年度に訪問調査・収集をする予定である。 2.中野・粟津は沖縄における史資料の収集を、沖縄県立公文書館を中心に調査し、集中的に行った。その結果、多くの貴重な文書を発見し、300頁ほど複写した。この調査で、沖縄では本土と異なりニミッツ海軍提督による布告で軍政に抵触しない限りに戦時中の法令が継続することになり、本土では神道指令等で廃止された「宗教団体法」が存続し、機能していたことが判明した。しかもその下で多くの新宗教が宗教法人となっていた。これらの事実は日本の宗教史・宗教制度研究においてこれまで殆ど指摘されておらず、重要な資料的発見である。 3.朝鮮半島の占領政策の特徴、日本との相違に関する研究は十分に進展していない。まず占領軍によるGHQ月報に種々の施策が記されていることが判明し、それを収集整理していくことを研究協力者と共に開始した。ソウルにある韓国公文書館で関連資料が公開され始めたことが判明し、その収集策の検討を開始した。 4.国際宗教社会学会(フランス)、日本宗教学会等で研究成果の一部を紹介し、関連研究者との論議を深めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3.11東日本大震災の影響により、本務校での講義等が変則化したこと、また近年、事務的な作業が増加したことで、研究活動に集中する時間が十分に取れなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たな史資料の所在は多く確認でき、その解読・評価のために調査研究に集中する時間が必要であるので、中野は本務校における研究休暇(サバティカル)を24年度前半にとり、米国へ長期出張して集中的に調査する。粟津は、引き続き沖縄での調査を継続して行う予定である。なお、研究代表者と分担者とではインターネットを介して緊密に連絡を取り合い、研究の進捗状況について随時確認し、これまでどおり中野が研究を統括する。また朝鮮半島における調査と研究は、研究協力者等に依頼して行うことを検討している。
|
Research Products
(7 results)