2012 Fiscal Year Annual Research Report
マニエリスムの「時代の眼」:ジュリオ・カミッロの美術論の再構成に基づく
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22520089
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
足達 薫 弘前大学, 人文学部, 教授 (60312518)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マニエリスム / ジュリオ・カミッロ / イタリア美術 / ルネサンス美術 / 記憶術 / エラスムス / ミケランジェロ |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジュリオ・カミッロの美術論の再構成、およびそれに基づくマニエリスム様式の実証的検証である。本年度は以下の研究・調査を行った。 (1)ジュリオ・カミッロの同時代のローマで開催された1513年の祝祭『カランドリア』に関連する文献の調査と収集。ローマ(国立中央図書館「ヴィットリオ・エマヌエレ二世」等)で関連する文献資料の調査を行った。また、カミッロの同時代の古典主義とそれへの批判について、フランチェスコ・ベルニのテクスト『反詩人対話』(1525年頃)の翻訳と註釈を通じて研究を行った。 (2)ミケランジェロの《最後の審判》に焦点を当て、エラスムスのような批判者による批評についての論考を発表した(『フレスコ画の解体学』ありな書房) さらに三元社より2013年刊行予定の『西洋美術研究』にカミッロの美術論をまとめた論文を投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジュリオ・カミッロとそのテクストの読解から出発し、同時代のローマにおける古典主義の実践と理念、およびそれに対する反発的批判(エラスムス、ベルニ)まで調査範囲を広げ、具体的な文化史的コンテクストを捉えることができた。当初はカミッロのみの研究であったが、カミッロとその時代の美術論をさらに包括的・具体的に研究するもっと大きな調査としてまとまりつつある。関連する論考を発表し続けており、今後2年間の間に著作としてまとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度からは、大きな著作としてまとめるべく、さらに焦点を絞った調査と研究を進めたいと考える。今年度は以下の2点に集中する。 (1)1513年のカンピドリオの丘での古典劇の上演とその内容(記述資料が残されている)の再構成とその分析 (2)コロッセウムで開催された夜間のキリスト受難劇とその内容の分析 これらを進めながら、資料の整理・読解・翻訳を本格化し、来るべき著作への基盤を整備する。
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Research Products
(1 results)