2011 Fiscal Year Annual Research Report
オーラルヒストリーによる1960年代前衛美術研究の再構築
Project/Area Number |
22520103
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
加治屋 健司 広島市立大学, 芸術学部, 准教授 (70453214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 裕子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20507058)
牧口 千夏 京都国立近代美術館, 学芸課, 研究員 (90443465)
粟田 大輔 東京芸術大学, 美術学部, 講師 (60537421)
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Keywords | 美術史 / 美学 / オーラル・ヒストリー / 日本美術史 / 現代美術 / 前衛美術 |
Research Abstract |
本年度は、オーラル・ヒストリー(口述史料およびその研究)の手法を用いて、1960年代を中心に、一部1950年代にさかのぼって、前衛美術の文脈で活動した美術家、写真家、建築家、画廊主、書店経営者およびその家族に対する聞き取り調査を行った。前衛美術会、デモクラート美術家協会、GUN、フルクサス、グループ<位>、美術家共闘会議などの美術団体に関わった美術関係者17名に対して、合計23回のインタヴューを実施した。今回の聞き取り調査は、前衛美術に自覚的に取り組んだ美術家を中心に行い、前衛美術に懐疑を抱き始めた世代の美術家にも話を聞いた。前衛美術の運動を担った美術団体は多様であり、美術団体ごとに理念や活動内容が大きく異なるだけでなく、前衛の理念自体にも認識の相違があることが分かった。それは、前衛美術が多様な差異を伴う運動であったことを示しており、前衛美術の広がりを理解する上で意義深い成果であると言える。 聞き取り調査の研究成果であるオーラル・ヒストリーは、研究代表者、研究分担者および研究協力者が作成したwebページにおいて原則的に公開することにしており、調査が済んだものから順次、公開している。画廊主や書店経営者といった、美術家以外の美術関係者は、美術家に比べると、自らの活動を言葉で説明する機会が少ない。本研究は、そのような美術家以外の美術関係者も含めて、幅広い層の美術関係者に対して聞き取り調査を行うものである。1960年代の前衛美術に関する美術関係者のオーラル・ヒストリーは、前衛美術の展開を多角的・総合的に明らかにするうえで意義深いと同時に、歴史資料の充実をもたらすため、前衛美術に関する基礎的研究を再構築する重要な活動であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は16名に聞き取り調査を行ったのに対し、今年度は1人多い17名に対して聞き取り調査を行っており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を推進するにあたり、研究分担者の所属機関が所蔵する図書や雑誌を利用すると同時に、それぞれの美術動向に詳しい専門家の意見を聞きながら、多くの場合その専門家と共に、聞き取り調査を行う。
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Research Products
(12 results)