2011 Fiscal Year Annual Research Report
バーサ戯曲の文献学的、ならびにパフォーマンス的研究~バーサを訳して上演する~
Project/Area Number |
22520135
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
船津 和幸 信州大学, 人文学部, 教授 (40219085)
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Keywords | バーサ / サンスクリット戯曲 / ナーティヤシャーストラ / トリヴァンドラム劇 / キーリヤーッタム |
Research Abstract |
(1)上演作品候補の『ウールバンガ』『カルナの任務』を中心に、翻訳作業、文献研究を進めた。新たに2種のバーサ新英訳(K.P.A Menon訳1996ならびにAndrew Skilton訳2009)も入手した。 (2)まつもと市民芸術館簑島祐二支配人より平成23年度をもって支配人を辞した旨の連絡があり、芸術館との提携、協力は白紙に戻った。 (3)インド・フィールドワーク(平成24年3月15日~31日) *ケーララ大学(トリヴァンドラム)写本図書館再訪、バーサ関係写本閲覧。 *演出家シャンカル・ヴェンカーテシュワラン氏(トリシュール)と集中的な意見交換。以下の諸点を確認した。 (i)上演演目を『ウールバンガ』と最終決定 (ii)具体的な演出アイデアに関しての協議の結果、主役を盲目の王妃ガーンダーリーとし、その視線によって『ウールバンガ』を語らせる一人芝居とする。 (iii)演技派女優マンダーキニー・ゴースワーミを採用 (iv)本務との関係で、上演は、平成24年9月最終週、インド(リヴァンドラム/バンガロール)とする。 (v)演出は、シンプルな現代解釈とし、したがってBGMも現代音楽とし、特にエリック・サティー的なメロディーが演出家のリクエストである。音楽担当の船津恵美子氏が舞台上でキーボード演奏をする。 (vi)脚本化と同時進行的に稽古は開始、音合わせは9月の訪印。それまでは密なコミュニケーションにより、脚本、リハの映像、作曲ピースの録音資料などを頻繁に交換し、進捗状況を確認しつつ双方で上演作業を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上演戯曲を『ウールバンガ(打ち砕かれた腿)』と決定したため、翻訳作業、文献研究は着実に進めているが、上演で全面的な協力を期待していたまつもと市民芸術館の支配人が異動となり、松本公演を断念せざるをえなくなった。演出家ヴェーンカテーシュワラン氏との頻繁な意見交換の結果、インド人女優の一人芝居としてインド上演と変更したため、すべての構想が振り出しに戻ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)かなりタイトな時間的制約、経費的制約のもとで、平成24年9月のインド上演が最優先事項である。 (i)『ウールバンガ』翻訳に準拠しつつ、ガーンダーリー一人芝居仕様の脚本(英語版)をヴェーンカテーシュワラン氏との共同制作で完成させる。(ii)同時進行的にインドではマンダーキニー氏との稽古(8月からトリシュールにおいて本格的リハ入り)(iii)音楽担当船津恵美子氏は、『ウールバンガ』の情景をイメージして、作曲ピースを書きためる。9月頭には渡印、リハに合流し、確定していく。 (2)上記、インド上演のプロセスと成果を踏まえ、翻訳、脚本を含む総合的な論文化は、平成24年度末までに完了させる予定である。
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