2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520136
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河西 栄二 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60302402)
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Keywords | 日本のかたち / 木彫 / 彫刻 / 橋本平八 / 内藤堯雄 / 桜井祐一 / 新海竹蔵 / 円空・木喰 |
Research Abstract |
研究2年目として、下記の4つのカテゴリーの調査・研究を進めた。(1)作家・表現研究として、近代木彫作家の資料収集、調査・研究を行った。・昨年度までに集めた資料の検討と共に、3月10日には神奈川県立美術館「辻晉堂展」主要木彫作品熟見とスケッチ調査。・5月佐藤朝山、平櫛田中展覧会図録資料収集。・11月8日埼玉県立歴史と民族の博物館開催の特別展「円空こころを刻む-埼玉の諸像を中心に-」にて埼玉県での円空の活動記録となる作品の詳細な実見調査。・橋本平八について5月15日と10月29日に生家にて開催された「偲ぶ会」に参加し、平八の研究者との意見交換や生家に残された作りかけの作品の写真撮影、資料として保管していた猫の頭蓋骨などを実見し撮影した。また遺族から当時の様子の聞き取り調査や平八の墓参りを行った。さらに生活や思想の背景となる朝熊山や伊勢神宮の取材も実施した。(2)美術公募団体の展開の様子や大学等組織の彫塑表現傾向調査を実施した。特に再興院展に近代彫刻の鍵があると考え、3月には院展100年史から新海竹蔵と石井鶴三、平櫛田中、佐藤朝山を中心に彫刻関連の資料収集、調査を進めた。他にも新制作協会の資料を収集するとともに9月18日には新制作協会にて開催されたシンポジウム、「新制作を考える-時代と表現-公募展とは?」にシンポジストとして参加した。また主要な美術大学の教師の存在、教育の方針などによる彫塑表現の傾向についても考える必要性を感じ、4月には各美術大学(東京芸大、造形大、多摩美、武蔵野美、東京教育大)の記念誌や記録集を収集し教授陣のメンバー構成や卒業生の作品の傾向を調べた。さらに貴重書のアルス大美術講座を入手し、当時の技法や彫刻の考え方についても研究を進めた。(3)木材収集・分析を行った。様々な樹種の木彫用材(樟丸太、桂、欅、楢、チーク、イチョウなど)入手、及び貴重樹種(白檀、カヤ、コクタン)の木片の資料収集、葉や幹、細胞片、X線などによる樹種特定の方法調査(京大森林講座参加)。(4)さらに自身での木彫作品制作による研究も並行して進め、昨年までの複数パーツによる寄木表現との比較研究として、一木での表現に取り組んだ。表面や部分の描写から離れ、求心的な簡潔なかたちの追及を試みた。また新たなテクスチャーの効果についての実験として作品の一部表面に特殊な叩き道具を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作家等の調査、及び資料収集について順調に進展しており、計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も作家調査、資料収集を進めるとともに、収集した資料をもとに分析、検討を行う予定である。
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