2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520139
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
栗栖 由美子 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (30305023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 聡 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (60282547)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ボヴィチェッリ / カッチーニ / プレトーリウス / 即興的装飾法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,17世紀前半の初期バロック音楽の適切な歌唱法を,理論と実践の両面から具体的に解明することである。今年度は,研究の最終年度にあたる。これまで,理論面においては,ボヴィチェッリの「マドリガーレとモテットの即興装飾法」,カッチーニの「新しい音楽作品」とその続刊,プレトーリウスの『音楽大全』第3巻所収の「音楽家に対する指導」の理論的著述を中心に,歌唱技法の面から具体的に解明してきた。また,実践面では,イタリア・バロックの声楽曲を中心に,広く楽譜を収集し,各々の曲にふさわしい歌唱法について検討を重ねた。 平成24年度は,これまでの成果をもとに,レクチャー・コンサートを開催するとともに,声楽家のための手引書「初期バロック音楽の実践的歌唱法」を作成し,各研究機関を中心に,成果の還元を行った。手引書の内容は,第1部:カッチーニとプレトーリウス,1)翻訳:プレトーリウス「音楽家に対する指導」,2)カッチーニとプレトーリウスにおける歌唱法,3)歌唱法の具体的指針―《アマリッリ》を例に―,第2部:ボヴィチェッリ,1)翻訳:ボヴィチェッリ『マドリガーレとモテットの即興装飾法』,2)ボヴィチェッリにおける歌唱法,である。本書において,3人の著述の中心をなす10種類の装飾音について考察した結果,それらは言葉のアッフェットを表現するためのものであったとの結論を得た。その成果は,これを踏まえて臨んだレクチャー・コンサートに結実し,言葉を際立たせることに成功した。本研究の意義は,理論的な考察の実践による検証という手続きを一貫して用い,それを踏まえた演奏を通じて,歴史的に的確な歌唱法を追求した点にある。この研究により,古楽演奏家たちのみならず,イタリア歌曲を学ぶ声楽の初心者に対しても,初期バロック音楽の適切な歌唱法に対する指針と,新たな視点からの演奏を提案することができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)