2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユーフォニアムにおける特殊奏法とその教材開発に関する総合的研究
Project/Area Number |
22520142
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山本 裕之 愛知県立芸術大学, 准教授 (70361037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 香奈 和歌山大学, 教育学部, 特任准教授 (70466944)
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Keywords | ユーフォニアム / 現代音楽 / 特殊奏法 / 現代奏法 / 金管楽器 / 奏法教材 |
Research Abstract |
本研究の二年目に当たる今年度は、一年目で得たユーフォニアムの現代奏法における奏法データのうち欠落している部分を補う作業並びに、奏法の組み合わせによる影響の検証等を行った。 欠落データの補充は、研究協力者の協力を得て、現場で使用が想定されるプロフェッショナル仕様の三メーカーのデータを可能な限り集め、解析を進めた。その結果、本研究の前段階に当たる研究にて公表した論文「ユーフォニアムにおける微分音の研究-微分昔・4分音スケールの開発-」(岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要,第8号,2009,pp.67-80)で発表した微分音スケールの精度を、さらに高めることに成功した。 奏法の組み合わせに関する影響の検証については、研究対象となっている各奏法を順列組み合わせ的に、また音域の差も含めてすべて検証した。その結果データの採集は滞りなく行えたが、それらの影響をどのような視点によって分類すべきかについては様々な検証や検討を行った結果、残念ながら規則性等は見いだせなかった。しかし奏法の組み合わせについての最終目的は、作曲家や演奏家にその現象や問題点について呈示することなので、今後は分類等を行わず個別的に文章としてまとめる方向にする。 なお、本来は三年目に行うはずだった奏法の教材化については、先行して昨年度から手がけはじめたが、本年度ではさらにそれを推し進め、昨年度のような編曲作品ではなく各奏法自体に焦点を絞った個別の練習課題を作成し、研究協力者に意見を求めた。その結果、教材そのものは有効であるが、奏者の意欲をさらに高めるための工夫が必要であるとの意見を得た。 以上の結果から、本年度は残念ながら論文等で発表できるほどの成果には至らなかったが、次年度の研究につなげるための複数の足がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に奏法の組み合わせに関する研究部分において、各奏法の原理が予想以上に複雑であったため、その分類作業に適切な方法論を見いだせなかった。そのため奏法組み合わせ検証についての方向性を定めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究上の大きな変更はないが、上記の奏法組み合わせに関しては、その方法論によるアプローチから、個別の記述方式に変更する。それを含めてこれまでに採集した各データを検証し、最終的に奏法教材も合わせて書籍として(あるいはウェブなどに)公に発表するための、最終的なまとめの作業を行う。
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