2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520148
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Research Institution | Kunitachi College of Music |
Principal Investigator |
加藤 一郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (60224490)
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Keywords | バッハ / テンポ / アゴーギク |
Research Abstract |
平成22年度は、先ずJohann Joachim Quantz.Versuch einer Anweizung die flote traversiere zuspielen.Berlin,1752.,Carl Philipp Emanuel Bach.Versuch uber die wahre Art das Clavier zuspielen.Berlin,1.Bund:1753,2.Bund:1762.,Leopold Mozart.Versuch einer gruindlichen Violinschule.Augsbourg,1756.等、バッハの時代の音楽様式を含む演奏理論書を調査し、テンポの微細な変動に関する記述ついて検討した。その結果、これらの著者は全て、拍の開始音に強勢を与える奏法を提唱しており、そのうち、J.J.QuantzとL.Mozartについては、その音を時間的にも拡大する奏法を求めていることが明らかになった。拍の開始部分のテンポを拡大する方法は、バッハが《フランス風序曲》BWV831の〈序曲〉や《パルティータ》第6番BWV830の〈トッカータ〉を、初期稿から最終稿に書き改めた際などにも用いており、それらは、拍の開始部分でテンポを拡大した分、拍の後半でそれを縮小し、テンポを拍の後方に圧縮するような奏法となっていることが分かった。こうしたテンポの変動は世界的なチェンバリストのG.レオンハルトや、バッハのピアノ演奏で評価の高いA.シフらの演奏にも示されており、これは付点リズムの鋭化奏法とも関連するものである。こうしたテンポの変動は程度の差こそあれ、彼の多くの作品の中に普遍的に見られるもので、これは「拍の中のテンポの圧縮」という、テンポ変動の一つの概念と言える。こうした理解を基に、次年度以降の研究を進めて行く予定である。
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Research Products
(1 results)