2010 Fiscal Year Annual Research Report
グレゴリオ聖歌の典礼神学的研究-祈りの芸術への新たなアプローチの試み
Project/Area Number |
22520158
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
西脇 純 南山大学, 人文学部, 准教授 (60329753)
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Keywords | グレゴリオ聖歌 / 聖歌写本 / カロリング期 |
Research Abstract |
本研究は、グレゴリオ聖歌を典礼神学の視座からとらえなおし、この音楽の「祈りの芸術」としての側面を明らかにしようとする試みである。典礼史的研究、聖書解釈史的研究、典礼神学的研究の3領域を含み、3年計画で進められる。初年度となる本年度は典礼史的研究に集中した。 まず文献研究においては、リヨン司教レイドラドのカール大帝宛書簡、ザルツブルグ司教アルンの『司牧指針』、助祭ヨハネスの『聖グレゴリウスの生涯』、ノートケル『カール大帝伝』などの史料に散見される該当箇所の検討により、カール大帝治世下における聖歌学校の設立およびローマ聖歌のフランク王国への導入の経緯を概見した。そのうえで、グレゴリオ聖歌成立期における聖歌集編纂の動きを追った。特にカロリング期の文教政策の潮流のなかで制作されたネウマ譜のない最初期の重要6写本に注目し、さまざまなリテラシー技術を駆使して同時代人にとっては神のことばである聖書本文(聖歌テキスト)の正しい読み書きが目指されていたことを確認した。 また、Stefan Klockner教授主宰の「エッセン・グレゴリオ聖歌国際セミナー」(2010年7月25日~8月1日)、国際グレゴリオ聖歌学会ドイツ語部門主催の年次総会(ハンブルグ、2010年9月24~26日)およびGodehard Joppich名誉教授主宰の「シュマレンバッハ・グレゴリオ聖歌セミナー」(2011年3月4日~6日)に参加し、グレゴリオ聖歌研究の最新の動向の把握に努めた。 さらに、聖グレゴリオの家付属宗教音楽研究所長橋本周子氏とともに1回あたり2時間程度のグレゴリオ聖歌研究会を開催し(2010年10月21日、10月28日、11月4日、11月18日、12月3日、2011年2月3日、2月24日)、Godehard Joppich名誉教授の「シュマレンバッハ.グレゴリオ聖歌セミナー」のテキストの翻訳(下訳作成)に取り組んだ。
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Research Products
(1 results)