2011 Fiscal Year Annual Research Report
越劇作品におけるジェンダー意識とその現代的意義--日中比較に見る女性演劇の可能性
Project/Area Number |
22520163
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中山 文 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30217939)
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Keywords | 越劇 / ジェンダー / 女性演劇 / 日中比較 / 演劇交流 |
Research Abstract |
23年度は具体的な作品を通して、日中における「女性演劇」の現状把握を行った。さらに、日中女性演劇人が相互の作品を通してそのジェンダー認識の差違を考える交流活動を組織した。 (1)首届wo-men女性演劇フェスティバルへの参加 2011年は年間を通して多様な演劇フェスティバルが開催されたが、中国で初の「女性演劇フェスティバル」が開かれた。そこに出品された8作品を通して、今の中国が「女性演劇」と呼ぶ作品の共通項を知ることができた。さらに、本フェスティバルの仕掛け人である李子氏にインタビューを試みた。 (2)日本女性演劇作品の紹介と交流 2010年度に本研究に助力してくれた棚瀬美幸の作演『それでもワタシは空を見る』の上海上演支援を行った。具体的には、1)当作品を上海話劇芸術センター主催する当代世界演劇フェスティバルに推薦し、上演に至るやり取りの通訳・翻訳。2)台本の中国語訳と字幕PPT制作。3)上演に北京の李子氏と上海の銭〓 氏を招き、棚瀬氏との3名で「女性演劇座談会」を行った。 (3)国際シンポジウム 12月、2度の国際シンポジウム(「青年作家喩栄軍作品研討会」「中国戯劇学会 第8回華文戯劇節(マカオ2011)学術研討会」)に参加し、中国演劇作品についてジェンダー的視点からの作品分析を発表した。 (4)越劇同好会の結成と活動 神戸学院大学地域研究センター(越劇研究班)と連携し、越劇同好会を結成。およそ月1回のペースで越劇ビデを見る会を主催し、講師を務めた。2月19日には、大女優袁雪芬氏の逝去1周年を記念する「梁山伯と祝英台」舞台衣装陳列と記念講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では2つのジャンルをテーマとしている。一つは越劇、一つは女性演劇である。女性演劇については、北京で第1回女性演劇フェスティバルへの参加、主宰者李子氏へのインタビュー、李子作品座談会を行った。上海では日本の女性演劇「それでも私は空を見る」の上演サポート及び上演後の交流会を開いた。中国でジェンダー意識を強く打ち出した作品分析の発表をする機会を得た。女性演劇人の交流も頻繁に行い、今年度はたいへん収穫が多かったといえよう。だが越劇については、期待していた温州越劇団建団60周年イベントが立ち消えになったために、新しい研究成果が出せなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(現状) 越劇に関する研究が遅れている。具体的には、作品の翻訳、DVDへの字幕入れ、新越劇作品に対する評価である。 (推進方策) 越劇台本については、中山が主催する「越劇友の会」に参加するメンバーたちの協力も得て行う。DVDへの字幕入れも、中国人オペレーターの協力を得る。新越劇作品への分析については、9月上旬に「楊小青作品検討会」に招待を受けている。そこでの研究発表を今年の主たる研究テーマとしたい。
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Research Products
(6 results)