2010 Fiscal Year Annual Research Report
下層社会の表象を焦点とした近代文学における「風景表象」の体系
Project/Area Number |
22520204
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中島 国彦 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00063785)
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Keywords | 日本近代文学 / 日本美術史 / 日本近代史 / 比較文学 / 美学 |
Research Abstract |
平成19・20年度の科学研究費での研究の発展として、明治・大正・昭和文学に現れた「風景表象」のうち、下層社会を背景とした作家・作品を取り上げ、分析した。都市の下層社会は、近代においては公害などの社会矛盾として現われ、さらに農村などの階層的格差社会としても描かれている。今年度は、来年度予定している松原岩五郎の『最暗黒の東京』注釈との関連で、足尾鉱毒問題に関係した木下尚江の若き日の資料分析を試み(岩五郎と尚江は影響し合っている)、農村格差の問題を背後に秘めた長塚節『土』の分析をまとめることにした。 今年度の重点研究の成果を、以下に記す。 (1)木下尚江資料の研究として、早稲田大学文学学術院所蔵「木下尚江資料」の整理と翻刻・公開を進める中で、明治20年代・30年代の自筆資料を分析し、尚江の社会矛盾への眼を考えた。講演が活字化されている。 (2)長塚節『土』を対象に、実際の背景を踏査し(2010・12)、そこに隠れている「田」「台地」「西風」の相関に注目し、作品の地理的な空間分析を組込みながら、作品分析を論文の形にまとめた。 (3)明治の「風景表象」で特異な位置を占めている、東北遠野地方の「風景表象」の実地踏査を試み(2010・9)、次に予定している柳田國男『遠野物語』の研究の資料を収集、論文化の準備をした。 (4)「風景表象」の諸問題を大学院の授業(日本女子大学)や学部の授業(早稲田大学)で取り上げ、これまでの成果を講義の形で披露した。
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Research Products
(2 results)