2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520212
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
横田 隆志 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (90403211)
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Keywords | 中世文学 / 観音 / 南部 |
Research Abstract |
本年度も前年度に引き続き、神奈川県立金沢文庫・国立国会図書館における調査を重点的に行った。特に金沢文庫では、中世南都観音伝承と特に関連をもつと思われる縁起類や神道書を調査し、本研究計画を推進する上で基礎的かつ重要な知見を得ることができた。 また本年度は、夏に奈良国立博物館で行われた特別陳列「初瀬にますは与喜の神垣與喜天満神社の秘宝と神像」に際し、「長谷観音と天神信仰」と題する論考を発表した。長谷寺の縁起・説話にみる天神道真は、初瀬の地主神であるのみにとどまらず、縁起の作者や長谷観音の化現という重層的な役割をになう存在として形象されている。本論考では、長谷寺が、天神道真をその信仰世界に加えることで、霊地としての相貌を新たにしたことについて論じた。 加えて本年度は、中世長谷信仰の担い手であった長谷寺大念仏衆の活動に関する論考を発表した。史料上は四十八人大念仏衆という集団の存在も知られてはいたが、長谷寺大念仏衆との区別は従来あいまいなままであり、両者を混同するような研究もまま見られるところであった。本研究ではその区別を明確にするとともに、長谷寺大念仏衆と本寺興福寺との関わりや中世南都における浄土教の展開、長谷寺の勧進活動との関連について言及した。 こうした研究を通じ、本年度は、当初の研究目的であった中世南都の観音信仰をめぐるネットワークの解明に貢献できたものと考える。こうした基礎的な調査研究を今後も続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成19~21年度に受けた科学研究費補助金・若手研究(B)「長谷観音伝承の形成と展開に関する基礎的研究」(研究課題番号19720044)の発展として位置づけており、「研究の目的」欄に記した、長谷寺を中心とする中世南都の観音信仰と説話伝承の特質、及び中世文学史における意義の解明は、漸次進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
中世長谷観音伝承に関する一覧を基礎とし、それを継承・発展させる。和歌・連歌・能・狂言・お伽草子といった中世の文学諸ジャンルの事例検索は、国文学研究資料館のデータベース「日本古典文学本文データベース」も適宜利用する。 上記の調査をふまえ、国内の学会および海外のシンポジウム等で研究成果を公表し、査読付き学術雑誌にそれを投稿する。その成果は、将来的には論文集『中世南都の観音伝承』(仮題)に結実させる。
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Research Products
(2 results)