2011 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀イギリス文学における詩人像の変遷とキャリア形成
Project/Area Number |
22520253
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
虹林 慶 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40315164)
|
Keywords | トマス・チャタアトン / 狂気 / ロマン派 / ジョン・キーツ / アルフレッド・テニソン |
Research Abstract |
23年度の研究では、前年度まとめておいた、ロマン派詩人による詩人像形成についての仕上げを行った。新資料の出現や、補足部分などのとりまとめがあったため、予定よりも時間がかかったが、論文として仕上げ、「九州工業大学研究報告(人文・社会科学)」に発表、出版した。 本論文では、18世紀の詩人と読者との関係に着目し、それがロマン派詩人の詩人像形成に与えた影響を明らかにし、さらにそれがどのようにヴィクトリア朝詩人のキャリア形成において重荷となったのかを示唆した。具体的には、パトロンから公衆へ変遷する読者の問題、詩人のキャリア形成と悲劇の詩人チャタアトンの問題、想像力と狂気の問題などを扱った。結論として、社会背景と自らの想像力とで生み出された伝説的ともいうべきロマン派の詩人像は、ヴィクトリア朝詩人のアイデンティティにとって超克すべきものとなったことを示した。 さらに、23年度の後半でアルフレッド・ロード・デニズンのテキスト研究および分析を行った。(In Memoriam, The Princess, The Palace of Art, The Lotos-Eaters, The Lady of Shalott, Ulysses, The Two Voices, Idylls of the King, Maud, The Vision of Sin, Morte d' Arthur, Sir Galahad, Sir Launcelot and Queen Guinevere, Locksley Hall, Locksley Hall Sixty Years After, OEnone, St Simeon Stylitesなど。)詩人像形成と自らのキャリア形成意識との関連から、この中で特にThe Princessに着目し、ロマン派詩人からの脱却についての研究を開始した。ワーズワースなどとの影響関係を糸口にしながら、次年度に論文作成を目指す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、主たる目的であった、「ロマン派時代の詩人像形成」についての論文発表を果たすことができたことが第一の理由である。第二の理由は、研究実施計画にあった、「テニスンの物語詩」の分析を開始することができ、また研究対象とする詩の選定もある程度行えたことである。また、これらを行うにあたって、必要書籍をある程度揃えることができたこともプラスであった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通りに研究を行い、ヴィクトリア朝詩人の分析を行う。これからも資料収集(図書の購入など)と分析に多くの時間と予算がかかることが予測される。
|
Research Products
(1 results)