2010 Fiscal Year Annual Research Report
英語小説における近代表象の比較的研究-インドの英語作家を中心に-
Project/Area Number |
22520273
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
栂 正行 中京大学, 国際教養学部, 教授 (10163958)
|
Keywords | イギリス近代 / 日本近代 / イギリス小説 / 現代インド英語小説 / インド / クシュワント・シン / 近代 / グローバリズム |
Research Abstract |
平成22年度は、「英語小説における近代表象の比較的研究-インドの英語作家を中心に-」という三年間にわたる研究課題を遂行するため、まず英語小説の起源としてのイギリス小説という表象の基盤をなすイギリス近代について考察した。これは平成22年4月に『WEB英語青年』4月号発表の書評村岡健次著『イギリスの近代、日本の近代』の執筆の準備段階にその萌芽を持つ。さらにこの書評を契機にイギリス近代についての考察を『エリザベス・ギャスケルとイギリス小説の伝統』(大阪教育図書)所収の論文「自然が救うギャスケルの男性たち-『妻たちと娘たち』のロジャーを追いながら」で深化させた。他方、イギリスから英語圏に近代考察を広げ、その過程で、木村茂雄・山田雄三編著『英語文学の越境』(英宝社、2010年)の書評、入子文子編著『英米文学と戦争の断層』(『図書新聞』、2011年4月23日)の書評を行った。さらに考察対象をイギリスから日本、インドへと展開し、共編著『現代インド英語小説の世界-グローバリズムを超えて』(鳳出版、2011年)を出版した。研究代表者は、「知らぬ間に非近代にのみこまれる近代について-クシュワント・シンの『デリー』と『水葬』から」と題する論文を寄せ、イギリスの近代、日本の近代をめぐる時代区分に諸説のあることに触れたのち、イギリス近代の圧倒的支配下にありながらも、時にその近代そのものをも無効にしてしまうかのようなインド社会がいかに英語小説というかたちで表象されているかを、『デリー』と『水葬』というシンの代表作二作を題材に考察した。
|
Research Products
(2 results)