2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタファーとメディアの相互性に関する研究―近現代ドイツ圏の場合
Project/Area Number |
22520290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 純一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30216395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 龍一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (10241390)
佐藤 拓夫 北海道大学, -, 名誉教授 (20091457)
高橋 吉文 北海道大学, -, 名誉教授 (20091473)
石川 克知 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30142665)
山田 貞三 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50128237)
吉田 徹也 北海道大学, -, 名誉教授 (80003531)
堀田 真紀子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90261346)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタファー / メディア / テクスト論 / システム論 |
Research Abstract |
最終年度に当たる本年度は、昨年度続けて、メタファーとメディアの相互依存性、あるいは両者による構成(接続)・解体(切断)・再構成(再接続)というメカニズムに基づいた事例分析が進められた。その結果、技術的メディアを触媒としながら相反する要素を『魔』という象徴的な変容の場の物語として統合するメタファー機能(『魔の山』)、物理的なメタファー表現の揺れの中に意識的な心理関係の変化を織り込むテクスト構成(ゲーテ)、あるいは思想の展開を可視化メディアとなる視覚的イメージのメタファー的な解釈(ベンヤミン)等の新たな知見が加えられ、さらにはニーチェにおける批評の自己言及がもたらす論理の反転(決定不可能性)や、音楽をメディアとして描写する際の構成方法(例えば『音楽史』という学問的な記述)などにも、呼応する現象を見ることができた。 研究全体を通して理論的な知見として、揺れと変化を基本的な原理とする思想、作品、テクストを、それにもかかわらず一つのユニットとして保持することが可能なのは、メディアの内包するメタファー的な機能―構成(接続)・解体(切断)・再構成(再接続)の連続的な交替―であり、またこれは極めて創作における有効な方法論となりえ、その現象は近代ドイツ圏に顕著である、という仮説の有効性が確認された。また、この構成・解体・再構成の連続的な交替を極めて抽象的に表現しているのが、ルーマンの社会システム理論と考えられ、<差異化と同一化>の差異化、あるいはシステムにおける意味のオートポイエーシス(自己差出)等、表現は異なるが、メディアの基本的な機能である接続と切断を、<振動>という形で定式化したその理論構成は、前述したメタファーの機能の仮説と極めて親和性が高いといえる。個別的な分析のいくつかはすでに発表されているが、全般的な理論的な成果に関しては、今年度中に論文として発表される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)