2010 Fiscal Year Annual Research Report
サルトルの初期批評文芸作品の生成コンテクストに関する研究
Project/Area Number |
22520305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
重見 晋也 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40303573)
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Keywords | サルトル / 文芸批評 / アクシオン・フランセーズ |
Research Abstract |
本年度は研究計画の初年度として,フランスにおける文芸批評テクストの生成および出版コンテクストの再構築を行うための資料調査および資料収集を,9月と3月の2回に分けてフランス国立図書館にて行った.特にサルトルが後年Baudelaireとして独立して刊行する序文が刊行されたEcrits Intimes(1946)に着目し,同書が収められたPoint du Jour社の《Incidences》シリーズ全6巻について調査し,同シリーズが未刊行原稿を若手の作家の序文を付して刊行するという態度をとることで,商業的に一定の成功を収めていたことを確認した.また,Point du Jour社が1945年から1947年までに活動していた出版社であり,当初はモナコに拠点を置きヴィシーで印刷を行っていたが,後にパリに移転していること,さらに短い活動期間中の刊行点数を確認すると,文学書よりもフィリップ・スーポーなどの美術書の刊行に活動の力点を置いていたことなども調査から明らかとなった.このことはサルトルにおける初期批評文芸作品が,サルトルの意志やイニシアティヴにのみ由来するものではなく,作品を取り囲む通時的状況によって多元的に決定されることを,作品の刊行コンテクストをたどることから明らかにしたという点において意義が大きい これらの調査結果については,批評作品Baudelaireのパラテクスト研究として位置づけ直すことで,2011年3月にエクス=マルセイユ第1大学で開催された国際研究集会において,《La Litterature et les matieres de ses supports>>と題して行った発表で報告した
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Research Products
(1 results)