2013 Fiscal Year Annual Research Report
サルトルの初期批評文芸作品の生成コンテクストに関する研究
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22520305
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
重見 晋也 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (40303573)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドイツ占領下フランス文学 / サルトル / アクシオン・フランセーズ / 『コンフリュアンス』誌 |
Research Abstract |
本研究計画にしたがっておこなった活動としては、1)フランス国立図書館(以下、BnFとする)における資料調査の継続、2)過年度までの調査で収集した資料の整理の2点である。 BnFにおける調査は、昨年度に引き続いて、サルトルの『ボードレール』が詩人ボードレールの"Ecrits intimes"への序文としての位置から切り離されて刊行される前に"College spirituel"のタイトルで断片的に発表される部隊となった文芸雑誌Confluences誌を対象としている。本年度の調査は2013年8月18日から25日までの8日間の期間で、フランソワ・ミッテラン館およびアーセナル館にて実施した。調査の内容は前年度からの継続で、Confluences誌に掲載されている他の文芸誌にたいするレビューなどの確認である。今回の調査によって最終号まで残すところ5号というところまで進めることができたが、全体を網羅するまでにはいたっていない。これについては最終年に調査を追加して完成させる予定である。これまでに収集した参考文献一覧のデータ化を大学院生の協力を得て実行し、これを本報告書の最後に付している。 本年度の研究成果は、2014年3月刊行の『HERSETEC』に論文「ドイツ占領下のフランスにおける検閲制度と文芸誌Confluences―サルトル『ボードレール』の生成との関連において―」として発表した。また、本年度の研究成果をまとめた「中間報告書」を昨年度に引き続き印刷・刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本補助金の申請時に計画していた調査について若干の遅れはあるものの、当初の計画と大きく違うことなく調査・研究を行うことができており、最終年度に研究をまとめるのに十分な資料収集が完了している。このことから本研究課題は当初の研究目的に照らしておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
過年度までの調査および研究の結果から、ドイツ占領下におけるフランスの出版事情に関連して、1)現在保存されている文献資料にもかなり制約があるため、より入念かつ慎重な調査を実施しなければならないことが明らかになった。また、2)オットー・リストなどの販売禁止リストに代表される検閲制度やそれをすり抜ける出版社の試みについての重要な証言や資料を得ることができた。 残された研究期間において本研究計画の当初の目的を達するために、追加調査を実施することによってConfluences誌全体を対象とした調査を完了した上で、Confluences誌という文学界の特性を抽出し、その上で同誌上に掲載されたサルトルの"College spirituel"と『ボードレール』の該当部分の比較検討をおこない、5年間にわたる研究を最終的にまとめる予定である。
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