2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520318
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉井 亮雄 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (40200927)
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Keywords | 仏文学 / 新フランス評論 / アンドレ・ジッド / 文学史 / 象徴主義 |
Research Abstract |
当初の計画どおり、第2年度(3年計画のうち)の研究作業は、初年度につづき「新フランス評論」誌創刊前後の文芸誌間交流についての具体的調査が中心となった。 本研究課題が対象とする時期(一応の区切りとして1904年からの10年間)に刊行され、かつアンドレ・ジッド・ジッドら「新フランス評論」グループと何らかの関わりがあったフランス内外の文芸誌については、すでに関連書誌作成などの予備的作業によって研究方針を定めていたが、本年度は、これにもとづき「誌と散文」誌および「ラ・ファランジュ」誌の基本的な編集方針や文学的主張の傾向を探るとともに、未刊行の文献や資料の調査を継続的におこなった。 その主要な成果としては,第一に、ジッドと「誌と散文」主宰者ポール・フォールとの往復書簡集の校訂を作成したこと(同書簡集はフランスの「ジッド研究センター」から近刊予定)。第二に、「ラ・ファランジュ」誌について、クロード・マルタン国際ジソド学会名誉会長と共同で、総合的な書誌・索引を編纂したこと(この成果も「ジッド研究センター」から本年度中に出版の予定)。 また未刊行の文献や資料の閲覧・筆写のために、フランスでの現地調査をおこない(主要な訪問機関はパリ大学附属ジャック・ドゥーセ文庫とフランス国立図書館の2カ所)、当該雑誌間の交流の具体相をかなり正確なかたちで把握することができた。付言すれば、書簡など自筆稿類の精確な筆写は時間をとる作業であるが、すでに親交を結んでいるフランス人研究者・図書館司書に解読・筆写の協力を仰ぎ、効率よく作業を進めることができた(協力は個大的な友誼にもとづくものであり、すべて無償である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果として,ジッドと「誌と散文」主宰者ポール・フォールとの往復書簡集、および「ラ・ファランジュ」,誌の総合的書誌・索引の2著を完成したこと(いずれもフランスの「ジッド研究センター」から今年度内に出版予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象を「誌と散文」「ラ・ファランジュ」両誌以外の象徴主義文芸誌にも広げ、「新フランス評論」誌との多様な関係について実証的に考究する。そのためにフランスでの文献・資料調査によって資料面のいっそうの充実をはかりつつ、課題について実質的な総括を目指す。
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Research Products
(2 results)