2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期ルネサンス期のスペイン語散文における修辞学技法の受容と定着
Project/Area Number |
22520325
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
瀧本 佳容子 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (70306869)
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Keywords | 外国文学 / 初期ルネサンス期 / スペイン文学 |
Research Abstract |
15世紀のスペイン語散文における修辞学技法の受容と定着について、フェルナンド・デ・プルガール(Fernando de Pulgar,1420/30ca.-92ca.)の書簡文学と年代記を中心に研究する。平成22年度においては、次のような調査を行う予定であった。1) 15世紀カスティーリャ王国の社会文化史におけるプルガールの生涯と業績の位置づけ、2)『書簡集』および『カトリック両王年代記』の写本調査および両者の書誌学的先行研究を精査、3)『書簡集』および『カトリック両王年代記』の執筆・刊行過程および同時代人からの評価、4)『書簡集』および『カトリック両王年代記』のリレーション・データベース作成準備。2) については、2011年2月28日~3月16日にスペインの諸研究機関(スペイン国立図書館、スペイン王立歴史アカデミー、スペイン高等学術研究所、メネンデス・ペラーヨ図書館)において調査を行った。 これら調査の成果として、『カトリック両王年代記』の書誌学的先行研究をまとめ、その問題点を指摘した論文をまとめた(未発表)。また、2011年1月22日の第147回東京スペイン語文学研究会(東京大学駒場キャンパス)において、「La autoridad de la letra 15世紀のカスティーリャ語散文における「作者」 の誕生(1)」と題する研究発表を行った。内容は、スペイン語散文が公的に使用され始めた13世紀半ばから15世紀末までにおける、俗語たるスペイン語の散文が文学的言語としての評価を獲得していく過程、および、スペイン語散文の書き手が「作者」としての地位を獲得していく過程に関する考察である。この考察は本研究を本質的に支えるものであり、また、日本においてはスペイン語散文に関する同様の研究はなされていないことから、価値のある発表であると言える。
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Research Products
(1 results)