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2013 Fiscal Year Annual Research Report

シュトゥルム・ウント・ドラングとヨーロッパ文化史――越境する文学の影響圏

Research Project

Project/Area Number 22520328
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

今村 武  東京理科大学, 理工学部, 准教授 (60385531)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2015-03-31
Keywords外国文学(独) / シュトゥルム・ウント・ドラング / 文学史 / 美術史 / 音楽史 / 地域文化史
Research Abstract

本研究は、文献学的に「シュトゥルム・ウント・ドラング」概念の史的変遷を追求し、産業革命と市民革命の狭間に起こる文学革命に関する新研究領域を確立することを目的としている。今年度の研究活動とその成果は、以下の通り。
(1)地域的には、バルト海沿岸地域、ケーニヒスベルク、デンマーク、アルザス・ロレーヌ地域、スイスドイツ語圏、までを包摂するシュトゥルム・ウント・ドラングの展開地域を研究するための資料収集を前年度より継続して行った。また研究分野のレヴェルでは、とりわけ音楽史関連ではカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ、および美術史関連ではヘンリー・フューゼリに関する資料の収集を行った。
(2)研究の中心を成す詩人ヤーコプ・ミヒャエル・ラインホールト・レンツの第一次資料を直接閲覧出来るロンドン大英図書館に赴き、関連資料もあわせて直接閲覧することで、18世紀後半の知的連関を確認した。また疾風怒濤を絵画の方面で表現するヘンリー・フューゼリの作品もテイト・ブリテンで直接参照し、複製印刷ではわからない細部まで確認、検討することが出来た。
(3)以上の研究活動の成果は、ドイツ語による学術論文、学会発表、および研究書への寄稿論文に結実している。今年度に活字媒体および口頭による発表に至った成果はとくにアルザス・ロレーヌ地域におけるシュトゥルム・ウント・ドラングについて再検討を加えたものである。疾風怒濤の詩人の活動を啓蒙のプロジェクトとして捉えることにより、プロジェクト研究的なアプローチを行い、啓蒙活動の諸点、とくに定期刊行物の発行とその影響について新たな研究の必要性を論じている。
(4)今後の研究の展開について記しておけば、これまでの研究成果はおもにドイツ語による論文で発表してきたが、その成果を日本語による論考として再構成し、学術研究書として刊行する準備をする必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の研究目的は、おおむね計画以上に進展している。その理由と内容は下記の通り。
(1)積極的にドイツおよびイギリスに資料収集・計画遂行のための打ち合わせに出張した。これにより、幅広い資料の収集と、ドイツ語圏の研究者からのアドヴァイスを得ることが出来た。結果として、計画当初以上に生産的な研究活動を行うことが出来た。しかしながら研究推進社にとってまだ未踏の地であるバルト海沿岸地域におけるフィールドワーク的な研究が残されていることも記しておく。この知見と必要性もまた国際学会におけるバルト三国からのドイツ文学研究者との交流で得られたものである。
(2)研究成果を発表する機会を、逐次学会、研究会で発表を行った。これにより、研究計画に短い間隔での成果報告を自ら義務づけることが出来、研究計画の一層の進捗に資することとなった。
(3)シュトゥルム・ウント・ドラングの文献学的概念史研究を進めることにより、幾つかの新たな研究分野、研究テーマが出現した。それらの学際的な新研究領域の可能性をアピールするために、現在の研究活動をより積極的に進めたため。新しい研究テーマに関して追記すれば、シュトゥルム・ウント・ドラングの概念史的研究を進めることにより、かの「文学革命」が啓蒙のプロジェクトともいうべき広範な芸術の再創造の一翼を担っていたという知見を、さらに検証する必要があろう。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の今後の推進方策は、下記に記す通り、これまでの成果の発表と、新たに発見された新分野、新研究テーマの開拓と推進の二つを大きな柱とする。
(1)研究成果の社会への還元。
これまで得られた本研究計画の成果は、おおむねドイツ語の論考で逐次発表されてきた。しかし研究成果を広く一般に公開、還元し、それにより新研究領域の開拓という本研究計画の最終目的を勘案すると、この研究計画に依って得られた知見を研究書の形で刊行することが急務である。これまでの研究成果を再構成し、纏まった形での発表(刊行)を目指す必要があり、またすでにその作業に着手している。
(2)新研究課題への移行。
本研究課題の研究活動を通じ、新しい研究領域「様式概念としてのシュトゥルム・ウント・ドラング」のみならず幾つかの新しい研究分野、ないしは研究テーマが見出された。これらは「地域文化史」「辺境」「コロニー」「音楽史」「美術史」「天才」「ドイツ語圏のシェイクスピア」「正統と異端」「啓蒙のネットワーク」「啓蒙のプロジェクト」をキーワードとして絡み合う学際的な研究領域である。特に詩人ヤーコプ・ミヒャエル・ラインホールト・レンツを軸に据えた研究は、本邦においてもあまり例がない。この本研究課題によるシュトゥルム・ウント・ドラングの文献学的概念史に確実な基礎と、奥行き、幅広さを与えるためにも、新しい研究課題に挑戦すべきと考える。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] J.M.R. Lenz´ Aufklaerungsprojekte im Elsass2014

    • Author(s)
      Takeshi Imamura
    • Journal Title

      Tokyo University of Science. Studies in Liberal Arts and Sciences

      Volume: 46 Pages: 115-125

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ゲオルク・ビューヒナー『レンツ』における個人の危機体験と人間関係2013

    • Author(s)
      今村 武
    • Organizer
      日本人間関係学会第21回全国大会
    • Place of Presentation
      東京理科大学葛飾キャンパス
    • Year and Date
      20131102-20131102
  • [Presentation] アルザスの啓蒙プロジェクト2013

    • Author(s)
      今村 武
    • Organizer
      日本独文学会2013年度秋期研究発表会
    • Place of Presentation
      北海道大学
    • Year and Date
      20130929-20130929
  • [Presentation] 詩人J.M.R. レンツとG. ビューヒナーの小説『レンツ』2013

    • Author(s)
      今村 武
    • Organizer
      ゲオルク・ビューヒナーの『レンツ』を読む
    • Place of Presentation
      東京ドイツ文化センター
    • Year and Date
      20130627-20130627
  • [Book] 人間関係から読み解く文学2014

    • Author(s)
      日本人間関係学会・文学と人間関係部会
    • Total Pages
      228
    • Publisher
      開文社

URL: 

Published: 2015-05-28  

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