2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520394
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
呉人 惠 富山大学, 人文学部, 教授 (90223106)
|
Keywords | コリャーク語 / 形容詞 / 属性叙述 / 言語類型論 / 分詞形式 / 名詞化 |
Research Abstract |
本研究は、コリャーク語(チュクチ・カムチャツカ語族)の形容詞を,1)名詞と動詞の連続相の中で捉えることによって、言語類型論的に位置づけ直し,2)従来、コリャーク語で形容詞述語と考えられていた形式を、日本語の叙述類型論の中から生まれた「属性叙述」という概念を導入することにより、名詞・動詞述語文とともに新たに捉え直すとともに,3)同系の他言語の形容詞と比較することにより、史的形容詞研究の基礎作りをすることを目的としている。研究初年度である平成22年度には,このうち,特に1)と2)を中心に,プロトタイプ的形容詞の収集ならびに意味タイプの整理と「属性叙述」からのコリャーク語形容詞述語文の捉え直しをおこなった。その成果は,後述の研究論文・研究発表に記載されている通りである。さらに,コリャーク語の形容詞的な形式を洗い出し整理する中で,属性叙述的な形式以外にも,多機能的な分詞形式についての考察が必要であることがわかってきたため,「名詞化」の観点からこれにも検討を加えた。その成果も後述の通りである。 以上のように,おおよそ当初の計画通りに研究を進めることができた。唯一,予定していたロシア連邦ハバロフスク市での聞き取り調査が,調査対象者が,天候不順(吹雪)のために自宅からの道路が閉鎖され,ハバロフスクに来られなかったことにより中止となってしまうというアクシデントがあった(調査対象者の都合により3月に調査を設定していたため,日程変更をすることも不可能であった)。そのため,辞書で収集した形容詞の用法や属性叙述と事象叙述の違いなどについて,実際に母語話者から確認することができなかったが,これは次年度以降の調査で補完したいと考えている。
|
Research Products
(8 results)