2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知的関連性のモデル化と文理解実験に基づく実証的研究
Project/Area Number |
22520415
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
松井 理直 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00273714)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 関連性理論 / 関連性の認知原理 / ベイズ確率 / 回帰性 / ロジスティック関数 / 認知錯誤 |
Research Abstract |
本研究は、関連性理論 (Sperber and Wilson, 1986) における関連性の認知原理に関する数学的性質について考察を行ったもので有る。関連性の認知原理とは、関連のある情報を限定し、それにのみ注意を払うシステムのことである。研究の結果、関連性の認知原理の数学的性質として最も適切な枠組みは、統計学で言う回帰係数に近いものであり、また各部分情報はロジスティック関数によって表現できることが明らかとなった。これらの数学的性質により、日常言語における推論形式である「条件文」の理解過程の一端を捉えることができると共に、Wason 選択課題に代表される思考推論に関する心理実験の結果をも妥当に説明できることがわかった。特に、「ト形式」を持つ条件文理解の特異性は、関連性の認知原理を表す数式の逆関数を解く過程に相当し、それによって解釈可能な文脈が限定されることを明らかにした。 また、定量的な性質を持つ物理的性質が「言語」という差異に基づく二値的な訂正的性質を持つ単位に変換されることも、ロジスティック関数の性質から説明できると共に、固定観念や先入観という誤った信念形成の成立過程についても、関数式の持つ各パラメータの性質から理解できることを示した。こうした代数的な性質を、多値論理の真理値として用いることで、意味論と語用論を統合する動的意味論の枠組みを若干簡易なものに置き換えることができる。 関連性理論が持つ2つの原理 (関連性の認知原理と伝達原理)のうち、関連性の認知原理に関しては詳しく研究されてこなかったが、この性質が回帰的な性質を持つことから、因果関係の絡む思考における原因と結果の対称性、逆の論理に関する論理的錯誤の発生過程についても、その一部が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)